研究概要 |
1.回転ブラックホールの増幅反射不安定:ブラックホール周りでのボーズノバ現象が,l=m=2,3のモードではl=m=1と比べてより顕著に起きることを示し,ボーズノバが起きる臨界振幅をアクシオン崩壊定数で与える経験式を導いた.さらに,新たな定式化による評価により,アクシオン雲からの重力波放出は増幅反射不安定を阻害しないが,銀河系内のブラックホールで起きると十分な強度をもち,LIGOによる観測から超弦理論アクシオンの質量への制限が得られることを見いだした. 2.ブラックホールの解析的研究:初期値に対する正準エネルギーを安定性判定に応用する新たなブラックホール安定性解析手法の開発に取り組んだ. 3.有質量重力理論: dRGT非線形有質量重力理論において,静的球対称解が厳密解となる条件を組織的に調べ,その部分族に対し,解は幾何学的には安定であるが,Stuckelberg場の力学構造の退化という病的現象が起きることを示した. 4.アクシオン宇宙論:超弦理論モジュライのアクシオンへの崩壊が暗黒放射を生み出すことに着目し,余剰次元コンパクト化模型への強い観測的制限を得た.原始磁場中でのPrimakoff過程に着目し,アクシオン暗黒放射に対する宇宙論的制を導出.超対称アクシオン模型においてゲージーノ質量が大きな補正を受けることを示した.3.5keV X線lineを説明する模型としてsterile neutrino, string axion, pNG bosonを提唱。 5.究極理論探査: シフト対称カラー場と結合したEuclide高階微分重力理論の繰り込み可能性を証明。超弦理論低エネルギー有効理論を解析し,フレーバー/R対称性の非摂動論的破れのニュートリノ質量項への影響を解明. R-axionの宇宙論への影響により,超対称性の高エネルギーでの破れの機構が強く制限されることを示した.
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