研究課題/領域番号 |
22244031
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
藤井 恵介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30181308)
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研究分担者 |
高橋 徹 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (50253050)
岡田 安弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20212334)
兼村 晋哉 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (10362609)
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キーワード | 素粒子実験 / 素粒子理論 / 計算物理 |
研究概要 |
素粒子物理学における最も緊急の課題は、「ゲージ原理」と並び立つ標準模型の2本柱のうち未検証の片方、「電弱対称性の破れと質量生成機構」を解明し、テラスケールにある新しい物理の扉を開く事にある。昨年度に引き続き、「電弱対称性の破れと質量生成機構」、LHCからの「新しい物理のヒント」に即応するための物理検討をA、B、2グループに別れて検討した。 「グループA」: e+e-→ZHによるヒッグス崩壊分岐比測定について主要モードに関する検討を終えた。また、簡易シミュレータによるttHシミュレーション研究を完成し、初めてILC第一期計画(500GeV)でのトップ湯川結合測定可能性を示すことができた(論文雑誌に掲載済み)。一方、ZHH検討では、その測定可能性を始めて示した(博士論文/口頭発表)。さらなる精度向上を目指し新しいジェット・クラスタリングを開発中である。γγ→HHについては、簡易シミュレータに夜解析をほぼ終了し投稿論文準備を進めている。並行してヒッグスの性質に現れると期待されるさまざまな標準模型を超える物理の可能性の理論検討を進め論文誌に投稿、掲載された。 「グループB」: 準安定な超対称荷電粒子スタウをともなう軽いグラビティーのシナリオの解析の理論的、実験的検討を行った(論文誌に結果掲載、修士論文2編)。また、昨年度から検討してきた暗黒物質候補がみつかった場合に可能な模型をどう見分けるかの検討を完成させた(論文誌に結果掲載)。これは、暗黒物質のシナリオによらない極めて一般的な新しい解析手法の提案である。加えて、超対称とならんで最近注目されているリトル・ヒッグス模型の理論的/実験的検討も同時進行で進め、リトル・ヒッグス機構そのものの実験的検証の手法を提案した。また、暗黒物質がヒッグスを通じてしか測定にかからないヒッグス・ポータルのシナリオもLHCで検出困難なシナリオとして重点的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に関して理論/実験の緊密な共同研究体制を構築することができた。その結果、多くの成果を得られ、投稿論文、学会発表の形で公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、[A]電弱対称性の破れと質量生成機構の物理、[B]標準模型を超える物理の2グループ体制で研究を推進するが、H24年度にはLHCでヒッグス質量が確定し、また新しい物理のシナリオが絞られてくることが予想されるため、それに応じて検討対象の重点調整を行う。また、ヒッグス候補が見つかった場合には、ヒッグスの精密測定で何が分かるのか、理論/実験のメンバーの力を結集して重点的に検討し、ビッグスファクトリーとしてのILC早期実現のシナリオを検討する。
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