共同研究者である米国航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター(NASA/GSFC)と共に、ロケット実験に搭載する装置のデザインをおこなった。米国側で偏光計のエンジニアリンモデルを試作し、正しくX線を検出し、光電子の飛跡が予想した位置精度でとらえられることを確認した。それと並行して、学生をGSFCに派遣し、宇宙用の小型X線発生装置(MXS)の開発とテストを行った。MXSは予想通りの性能が得られたが、光源のスポットサイズが予想より大きいなど、いくつか問題が発生したので、引き続きターゲット最適化の作業を継続する。さらに、X線集光ミラーの試作を行い、集光性能の調査を行った。その結果、現在の製作方法やマウント方法で問題ないことが確認されたので、マスプロダクションを開始した。ロケットに搭載するアナログ・デジタル信号処理回路などのエレクトロニクスを設計し、製作を開始した。Geant4をベースとしたモンテカルシミュレーターを組み上げ、上空でのバックグラウンドや偏光測定精度の評価ができるようになった。シミュレーション結果を較正試験のデータと比較することにより、より精度を上げる作業を開始した。フライト用ガス電子増幅フォイルの試作を行い、フライトと同じガス種であるジメチルエーテル内で動作させ、正しく動作することを確認した。また、宇宙での運用電圧よりも100V以上高い電圧を印加しても、問題なく動作することを確認し、十分な安全ファクターを確保してあることが確認できた。並行して中性子星からのX線放射の検討などを行った。
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