研究課題
水素は宇宙において最も多く存在し、太陽系の主要な構成成分は水素をはじめとするガスや氷といっても過言ではない。実際、これらの水素やメタン、氷からなる水素ハイドレートやメタンハイドレートが近年太陽系の惑星・衛星や恒星の初期過程である原始星に存在する可能性が次々に報告されている。そこで、メタンハイドレート(MH)や水素ハイドレート(HH)を氷天体内部に相当する低温高圧から高温高圧の条件下におき、これらの相変化や物性変化を実験的に明らかにし、これらの知見を基に氷惑星や衛星の内部構造を推定し、進化過程を検討するのが本研究の目的である。23年度においてはこれらのガスハイドレートのホストフレームワークを形成する水素結合対称化の進行過程を明確にとらえることが出来た。これに付随する体積弾性率の変化やホストーゲスト間に誘発される相互作用の変化を明らかにした。さらに、ガスハイドレートでは初めて低温下で体積膨張が起きる可能性を指摘した。また、氷VIIの対称化では基本構造は変わらないが、MHやHHの場合、対称化に際し基本構造がわずかに変化することを観察した。これらの結果はMHやHHの低温物性理解に役立ち、氷惑星や衛星の内部構造を推定するモデリングに貢献するものである。
1: 当初の計画以上に進展している
ホストフレームワークを形成する水素結合の対称化の進行過程を明確にとらえることが出来たばかりでなく、低温下の体積膨張の存在の可能性まで指摘することが出来たため。
MHにおける低温下の体積膨張が示唆されたので、HHにおいても同様の低温物性が存在するかどうかを調べ、ガスハイドレートの低温物性の一般則の構築を行う。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
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http://www.ehime-u.ac.jp/~grc/index.html
http://earth.sci.ehime-u.ac.jp/~hirai/