研究分担者 |
荒川 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10222738)
中村 昭子 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40260012)
門野 敏彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (60359198)
杉田 精司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80313203)
和田 浩二 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (10396856)
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研究概要 |
フラッシュX線装置の本格運用を開始し,2台のフラッシュX線源を宇宙科学研究所に設置された二段式軽ガス銃の実験観察用チャンバーに取り付け,衝突実験との同時運用を行った.並行して数値シミュレーションを行った. (1)多孔質標的への弾丸貫入実験:直径1.3mmのAl,Ti,SUS球弾丸と,直径3mm高さ2mmの円柱形岩石弾丸を速度2~7km/sで空隙率80-94%の多孔質ガラスビーズ焼結体と空隙率約50%の石膏に衝突させ,2方向からフラッシュX線を用いて観察した.さらに実験後に標的のX線透過画像を取得し,弾丸の貫入深さを決定した.弾丸の変形や破壊が小さい(弾丸質量の3分の1以上残る)場合は,弾丸速度の2乗に比例する抵抗と弾丸の強度に比例する抵抗により弾丸が減速するという式を用いて貫入距離をほぼ再現できることが分かった.また,弾丸の変形や破壊が大きい場合は,抵抗係数が2以上と大きくなることがわかった。 (2)掘削流のシミュレーション:掘削流のシミュレーション:前年度に準備した様々な空隙率をもつ粉体ターゲットへの弾丸衝突のシミュレーションを行い,弾丸貫入・掘削流のシミュレーションを行った.結果として空隙が大きいほど圧縮貫入型孔の形成が見られイジェクタ放出に寄与する掘削流は見られなくなること,貫入抵抗則については弾丸速度の2乗に比例する抵抗ならびに弾丸速度に比例する抵抗が生じることが示された.とくに得られた貫入抵抗則については(1)の実験とも調和的であることが確かめられた. (3)エジェクタ観察:多孔質ガラスビーズ焼結体とシリカサンドに,直径3mmの金属弾丸を速度2~7km/sで衝突させ,高速度カメラを用いたイジェクタ観察を行い,岩石からの固体エジェクタの最高速度と同様に衝突初期発生圧力に応じて速度が大きくなることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに,本研究で最も重要な課題であるフラッシュX線の立ち上げと,高速度衝突に伴うクレーター形成過程のその場観察に成功している。さらに,弾丸やターゲットの種類を変えた実験も順調に進んでおり,研究成果も着実に積み重ねている。また,この実験と比較すべき数値シミュレーションの研究も結果が出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
現在,2台のフラッシュX線を用いて衝突現象の観察を行なっているが,一連の衝突現象の時間変化を調べるためには,4-5回の同一条件による実験が必要である。実験の精度をあげて,さらに効率化するためには,フラッシュX線の数を増やす必要がある。そこで,別予算でさらにフラッシュX線を追加購入し3台での観測体制を実現する。
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