研究分担者 |
稲津 將 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80422450)
吉田 聡 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (90392969)
小守 信正 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 主任研究員 (80359223)
磯辺 篤彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (00281189)
中村 啓彦 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50284914)
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研究概要 |
本研究をH23年度に繰り越したのは,H22年3月に予定されていた日本海洋学会春季大会での口頭発表が,震災によって要旨集の発刊のみとなり口頭発表自体はとりやめとなったので,その研究をさらに発展を加えてH22年9月の日本海洋学会秋季大会で発表するためであった.この性質上発表の内容は,昨年度の実績報告書と重複する面もあるが以下に概要を説明する.H22年12月に行った,東シナ海の黒潮上における船舶観測結果の解析を発表した.船舶観測は長崎大学・長崎丸で実施し,観測項目は,GPS気象ゾンデ,XBT(投下式水温水深計),海上気象要素(気温・気圧等)である.海上のGPS気象ゾンデ観測は12月3日6:30から12月5日1:30までで,東シナ海の黒潮を往復する測線を取り,複数台のGPS気象ゾンデ受信機を用いておおむね1時間ごとに放球を行うことで,黒潮が大気にもたらす影響を高時間分解能でとらえることを可能とした.観測期間中の高・低気圧の通過に伴う気象要素の時間変化を取り除くため,各等圧面のゾンデデータから,時間についての線形トレンドを除去した後,測線に沿った観測期間中の平均的な鉛直断面分布を求めた.黒潮最強流帯では海面水温が高く,大気への熱供給を反映して,その直上で温位も高くなっており,風速は周囲より小さくなっているという特徴が得られた.この結果は,暖かい表面水温上での鉛直混合は上空からの運動量輸送によって表面風の加速をもたらすという先行研究の観測結果とは逆で,Businger and Shaw(1984)が提案したように表面摩擦の強化によって表面風が減速している可能性を示唆するものである.また予備的な数値実験を領域気象モデルを用いて実施した.
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