研究課題/領域番号 |
22244060
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 正人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20227937)
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研究分担者 |
高木 征弘 京都産業大学, 理学部, 准教授 (00323494)
山本 勝 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
はしもと じょーじ 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10372658)
今村 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40311170)
松田 佳久 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60134772)
大月 祥子 専修大学, 商学部, 講師 (90523291)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 金星 / 大気 |
研究概要 |
金星探査機「あかつき」のカメラを用いて取得した金星の雲の観測データを解析して、雲頂の温度分布に従来知られていない微細構造が存在すること、雲頂に従来モデルより多くの大粒子が存在すること、二酸化硫黄の時空間変動が可視~近赤外域のアルベド変動と同期していることなどを見いだした。 Venus Expressに搭載された紫外カメラによる金星画像を、「あかつき」のデータ解析ツールを用いて解析して風速ベクトルを導出し、平均東西風速が数ヶ月の周期で変動していることを発見した。また、金星大気中の惑星スケールの波動の活動度が平均風の変動と同期して変化していることを見いだした。 Venus Expressの電波掩蔽および赤外分光計のデータをもとに構築した放射輸送モデルを用いて、太陽光と赤外放射による加熱強制の3次元分布を求めた。これをもとに、大気循環による熱輸送を論じ、日射サイクルによるメソスケール擾乱生成の可能性を示した。 高速帯状風の維持における熱潮汐波および平均子午面循環の寄与を大気大循環モデルを用いて調べ、帯状風がいずれのメカニズムでも維持されうること、現実的な加熱強制では高速風を維持できないという専攻研究との違いが多重平衡解の存在によることを示した。また、帯状風の力学的安定性を大気循環モデルを用いて調べ、雲層中の大気安定度の小さい領域では傾圧不安定が生じることを示した。メソスケール対流の数値実験により、対流に伴うエネルギーと運動量の拡散を調べた。潮汐波が存在する状況下での極渦の構造についても調べた。これらモデル開発に加えて、金星大気大循環モデルに関するレビューやモデル間相互比較を行い、その成果を書籍にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的として挙げた、金星大気の物質循環解明のための探査機データの解析、地上望遠鏡による観測、数値シミュレーションのいずれもほぼ計画どおりに実施して、科学成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
探査機データの解析、地上望遠鏡による観測、数値シミュレーションを引き続き進めるとともに、全研究計画の終盤に入ったことを念願に置いて論文発表による成果公表に努める。
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