研究概要 |
平成22年度は,既存の研究を発展させ,以下の内容の研究を実施した 1.地殻深部物質の代表的試料として,ベトナム・紅河地域,南極・ルンドボークスヘッタ,スリランカ・ハイランド岩体の変成岩について,精密な岩石反応組織の解析と極微小領域の元素マッピング解析を行った.また新たに,タイ・インタノン帯および国内における地殻深部由来の変成岩について精密調査を実施した 2.最適試料を選定して,全変成反応に関わるすべての変成鉱物の化学分析を電界放射形電子線マイクロアナライザー(FE-EPMA)等により行い,全変成反応の化学平衡を確認するために新規導入の走査型蛍光X線分析装置により微小領域の岩石化学組成測定を行った 3.共焦点顕微レーザーラマン分光分析装置を使用し,選定された最適試料の極微細変成鉱物の完全相同定を実施した.その際,ラマンシフトの3次元マッピングを行いながら,微細鉱物に内包された極微細鉱物も含めて相同定し,例えばザクロ石中のヒスイ輝石包有物中にみられるジルコンなどを確認した.また,極微細な流体包有物の存在も確認し,変成反応解析を極めて高精度化した 4.選定された最適試料の中から,ジルコン,モナザイトについてレーザー溶融型誘導結合質量分析計(LA-ICP-MS)およびFE-EPMAによる年代測定を実施した.FE-EPMAでは,分析径1ミクロンを達成し,極微小領域年代測定に成功した.その結果,極めて精密な変成履歴解析に成功した 5.初年度当初に得られた,変成作用の精密解析に関する基礎的な研究成果を国内学会で発表するとともに学術誌に投稿し,現在査読中である
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