研究課題/領域番号 |
22244063
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山内 康人 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80183771)
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研究分担者 |
川嵜 智祐 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (50136363)
石塚 英男 高知大学, 自然科学系, 教授 (00142349)
外田 智千 国立極地研究所, 研究系, 准教授 (60370095)
中野 伸彦 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教 (20452790)
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キーワード | 地殻深部物質 / 変成反応 / 変成履歴解析 / 微小領域年代測定 / マントル物質 / 白金属元素 / 超高温変成岩 / 大陸形成テクトニクス |
研究概要 |
23年度は,微小領域精密解析に基づく変成作用の全時相・全反応プロセスの解明により,地殻形成テクトニクスを明らかにするために,以下の研究を実施した. 1.地殻深部物質の代表的試料として,ベトナム・紅河剪断帯~コンツム地域,南極・セールロンダーネ山地,モンゴル・ハンガイ山地,インドネシア・スラウェシ島の変成岩について解析し,新たにミャンマーおよび黒瀬川帯・南部北上帯などの国内における地殻深部由来の変成岩について精密調査を実施した.これらの変成岩類について,精密な岩石反応組織の解析と極微小領域の元素マッピングを行った. 2.最適試料を選定して,全変成反応に関わるすべての変成鉱物の化学分析を電界放射形電子線マイクロアナライザー(FE-EPMA)等により行い,全変成反応の化学平衡を確認するために走査型蛍光X線分析装置により微小領域の岩石化学組成測定・マッピングを行った. 3.共焦点顕微レーザーラマン分光分析装置を使用し,選定された最適試料の極微細変成鉱物の完全相同定を実施した.また,選定された最適試料の中から,ジルコン,モナザイトについてレーザー溶融型誘導結合質量分析計(LA-ICP-MS)およびFE-EPMAによる極微小領域年代測定を実施し,変成履歴解析を極めて高精度化した. 4.地殻深部物質との物質循環が想定されるマントル物質を精密同定するため,既存の装置群を駆使して白金属元素(PGE)の測定に関する基礎実験を開始し,試料作成法・分析条件設定を確立して,太古代超高温変成岩類を含めた次年度以降の本格分析に備えた. 5.初年度以降に得られた,変成作用の精密解析に関する基礎的な研究成果を国内・国際学会で発表するとともに学術誌に投稿し,新たな研究成果は5編の論文として現在査読中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
南極(セールロンダーネ山地,リュッツォホルム岩体等),ミャンマー,インドネシア,インドおよび国内各地(黒瀬川帯,背振山地,石垣島,南部北上帯等)の様々な地質背景を持つ変成岩試料について,微細包有鉱物を含む全構成鉱物の相同定を行い,極微小領域精密年代測定とあわせて,変成履歴の精密解析と実験岩石学的解析が行われた.成果の一部は5編の国際誌論文として投稿され,現在査読中である.また,マントル物質の精密同定を行うために,新たに白金属元素(PGE)の測定に関する基礎実験を開始し,次年度以降の精密分析を開始することが可能となっている.以上のことから,地殻形成テクトニクスの解明にむけた研究が大きく前進した.
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今後の研究の推進方策 |
微小領域精密解析による変成作用の全時相・全反応プロセスの解明にむけて,23年度までは極微細鉱物の同定・分析のための手法確立のため,比較的低温・高圧の変成岩類を中心に解析を進めてきた.その結果,極微小領域の変成鉱物同定・化学組成測定および変成年代測定に関する機器分析手法は概ね確立された.24年度以降は,白金属元素の精密分析による地殻-マントル間の物質循環を含め,新たに25億年前以前に形成された太古代地殻深部物質の解析に着手する.また,相平衡再現実験を深化させ,変成反応プロセスをより精密に解析する.以上から,多様なテクトニクス場における変成岩形成プロセス(空間的-時間的変動過程)を解明し,地殻形成テクトニクス(オロゲン)の実態解明を急ぎ,アジアにおける地殻物質精密分析に関する研究拠点形成をめざす.
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