研究課題/領域番号 |
22244063
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山内 康人 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80183771)
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研究分担者 |
石塚 英男 高知大学, 自然科学系, 教授 (00142349)
中野 伸彦 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 助教 (20452790)
川嵜 智佑 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (50136363)
外田 智千 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60370095)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 地殻深部物質 / 変成反応 / 変成履歴解析 / 微小領域年代測定 / マントル物質 / 超高温変成岩 / 超高圧変成岩 / 大陸形成テクトニクス |
研究概要 |
平成24年度は,地殻形成テクトニクスを明らかにするために微小領域精密解析に基づく変成作用の全時相・全反応プロセスをより精密に解析した.これまでに得られた,変成作用の精密解析に関する基礎的な研究成果を国内・国際学会で発表するとともに多くの国際誌に投稿し,新たな研究成果は学術論文として投稿中である.24年度の進展状況は以下の通りである. 1.地殻深部~マントル物質の代表的試料として,ベトナム・紅河剪断帯~コンツム地域,南極・セールロンダーネ山地,モンゴル・ハンガイ山地,インドネシア・ジャワ島,スリランカ・ハイランド岩体,ミャンマー・モゴック帯,オマーンの変成岩について解析し,黒瀬川帯・日高変成帯などの国内における地殻深部由来の変成岩についても精密調査を実施した.これらの高温~超高温ならびに高圧~超高圧変成岩類について,精密な岩石反応組織の解析と極微小領域の元素マッピングを行った. 2.最適試料を選定して,全変成反応に関わるすべての変成鉱物の化学分析を電界放射形電子線マイクロアナライザー(FE-EPMA)等により行い,全変成反応の化学平衡を確認するために走査型蛍光X線分析装置により微小領域の岩石化学組成測定・マッピングを行った. 3.共焦点顕微レーザーラマン分光分析装置を使用し,選定された最適試料の極微細変成鉱物の完全相同定を実施した.また,選定された最適試料の中から,ジルコン,モナザイトについてレーザー溶融型誘導結合質量分析計(LA-ICP-MS)およびFE-EPMAによる極微小領域年代測定を実施し,変成履歴解析を極めて高精度化した. 4.地殻深部物質との物質循環が想定されるマントル物質についても解析するため,大陸衝突帯深部由来のカンラン岩類・超高温/超高圧変成岩および火山岩中のカンラン岩ゼノリスについて,熱履歴の解析を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナム・紅河剪断帯~コンツム地域,南極・セールロンダーネ山地,モンゴル・ハンガイ山地,インドネシア・ジャワ島,スリランカ・ハイランド岩体,ミャンマー・モゴック帯,オマーンの変成岩について解析し,黒瀬川帯・日高変成帯などの国内における地殻深部由来の変成岩についても精密調査を実施した.これらの様々な地質背景を持つ変成岩試料について,微細包有鉱物を含む全構成鉱物の相同定を行い,極微小領域精密年代測定とあわせて,変成履歴の精密解析と実験岩石学的解析を実施した. また,地殻深部物質との物質循環が想定されるマントル物質についても解析するため,大陸衝突帯深部由来のカンラン岩類や火山岩中のカンラン岩ゼノリス,ならびに超高温・超高圧変成岩について,熱履歴の精密解析を実施し,現時点で世界最高圧力と考えられる岩石試料を見出した. これらの成果は,一部は国際誌に投稿中であり,残りの成果も公表を急ぐ.
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今後の研究の推進方策 |
微小領域精密解析による変成作用の全時相・全反応プロセスの解明にむけて,23年度までは極微細鉱物の同定・分析のための手法確立のため,比較的低温・高圧の変成岩類を中心に解析を進めてきた.その結果,極微小領域の変成鉱物同定・化学組成測定および変成年代測定に関する機器分析手法は概ね確立された.24年度は,マントル物質および超高温・超高圧変成岩類の解析にも着手し,地殻-マントル間の物質循環を含め,超高深度由来の岩石に関する熱履歴解析を行っている.25年度以降は,多様なテクトニクス場における変成岩形成プロセス(空間的-時間的変動過程)を解明し,地殻形成テクトニクス(オロゲン)の実態解明を急ぎ,アジアにおける地殻~マントル物質精密分析に関する研究拠点形成をめざす.
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