研究課題
本研究では、日本とチェコ共和国などで採集した地下深部岩石を材料に以下の項目に注目して、深部流体活動の実態解明に取り組んだ:1)地下深部岩石が辿った温度圧力史と流体活動史の解析、2)多様な化学組成を持った地下深部岩石の主要含水鉱物の同定、3)クラッシュリーチング法により抽出した深部流体の微量成分測定及び微量成分をコントロールする素因子の解明、4)新たに導入したレーザーアブレーション装置と既存ICP-MSを用いた、深部流体の化石と考えられている多相固体包有物を構成する鉱物の微量元素濃度測定。チェコのKtis産の地下深部岩石では、沈み込み帯の地下50-60km深度ではH_<2O>に富む流体の活動が支配的であったが、その後、部分溶融メルトの活動が支配的な時期に地下深部から岩体が断熱的に上昇しことを明らかにした(Kobayashi et al.,2011).日本の資料の研究では、沈み込み帯での主要含水鉱物であるローソン石に新たな端成分が存在する可能性を指摘するとともに(Ibuki et al,2020),地下約20-60kmで形成された深部岩石に含まれる微小な深部流体をクラッシュリーチング法で抽出し、塩濃度、水質、変成度、母岩の化学組成と流体に選択的に取り込まれる成分であるLiとBの量比を支配する因子を探求した。その結果、深部流体のLi/B比は母岩の変成度のみならず、母岩の化学組成にも支配されていることを見出した(Yoshida et al.,2011)。上記の研究と平行して、新たに導入したレーザーアブレーション装置を用いて多相固体包有物を構成する鉱物の微量元素濃度測定システムの構築を開始した。その途上、レーザーアブレーション装置の資料室に改良を加えるなどしつつ、工夫を加えた結果、技術的な問題をほぼクリアーした。
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Lithos
巻: 124 ページ: 46-65
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences
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