研究課題/領域番号 |
22244068
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉朝 朗 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00191536)
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研究分担者 |
真下 茂 熊本大学, 衝撃極限環境研究センター, 教授 (90128314)
大高 理 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (40213748)
奥寺 浩樹 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (50401881)
奥部 真樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (10397060)
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キーワード | 高温高圧融体 / 鉱物・岩石 / 局所構造 / 精密構造解析 / 衝撃圧縮 / 惑星地球物質 |
研究概要 |
本研究では、鉱物や高圧融体の局所構造を日本先導の最新の科学技術により詳細に調べ、原子の挙動や物性発現機構を知り、地球惑星物質に凍結された高圧高温や衝撃圧縮等の履歴や惑星地球諸活動の読み取りを行う。天然試料の含水状況と振動情報を調べるために赤外分光関連の測定を強化し、赤外線対応の顕微鏡を購入した。圧力により融体も結晶同様に配位数増加による大きな構造変化を起こす。元素分配や溶解現象は、局所構造変化に大きく依存する。隕石衝突により形成されるテクタイトガラスには、超高温・衝撃圧縮情報がTiやFeの局所構造に凍結されていることの詳細を明らかにできた。超高温で形成されたケイ酸塩融体が、高真空の宇宙空間で急冷されることで極端に含水量が低く、Tiは珍しい4配位席を占有し、Feはすべて2価状態、低配位数をとっている。断層ガラスなど地表近辺環境下でのガラスとは大きく異なった局所構造を有している。見かけでは区別できない、ケイ酸塩ガラスの形成過程の読み取りが局所構造解析から行える発見である。マントル鉱物や超高圧鉱物にみられる元素の常圧かでの状態に比べ高い配位数環境や異常に高い価数状況や低スピン状態、元素分配の特異性等の本質を解明している。精密構造解析により、超高圧下で合成したガーネット型化合物の熱振動特性・静的分布とその鉱物学的重要性を明らかにした。ガーネット型固溶体は、地球型惑星の物理的性質やテクトニクスを知るうえで重要である。高圧高温下で生成されたガーネット型結晶では、サイズが大きなマグネシウムイオンが、特異な熱振動特性・静的分布いる。造岩鉱物の高圧下での、元素の振動系と静的分布の研究は物性理解のうえからも重要である。高圧ガーネットグループは大きな局所的不規則性をもち、3次元周期性を保ち結晶状態であるために、すべてのイオン位置が局所的に静的な大きな変位をして、構造を緩和している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
装置の購入、新しい観測・測定・解析方法の開発が順調に進み、目的物の精度高い結果を得ることができ、世界に先導できたことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
さらに対象物を広げて、研究を発展・展開してゆく。新たな挑戦として、さらに装置の高度化と手法の公表と広いユーザーに確保に努力して、若手研究者・次世代の育成にも貢献したい。
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