研究課題/領域番号 |
22244068
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉朝 朗 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00191536)
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研究分担者 |
奥部 真樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (10397060)
大高 理 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40213748)
奥寺 浩樹 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (50401881)
真下 茂 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90128314)
中塚 晃彦 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (80294651)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 鉱物結晶 / 局所構造 / 高温高圧融体 / 精密構造解析 / 惑星地球物質 / 天然ガラス / ポストペロブスカイト |
研究概要 |
高温高圧下などの極限環境下および極限環境情報を凍結している結晶やガラス等の物質の局所構造を日本先導の最新の科学技術により詳細に調べ、原子の動的挙動や物性発現機構を知り、地球惑星物質に記録された準安定状態の衝撃圧縮等の履歴を解読することや惑星地球諸活動のダイナミクな情報の読み取りを行うことが主たる目的である。回折法とX 線吸収分析法等を併用した構造解析を同時に行うことで総合情報を得ことで成果が得られた。本年度は特に回収試料から極めて重要な新結果を得、国際誌に公表した。また、マントル鉱物や超高圧鉱物にみられる遷移金属元素の特異な状態や高圧下での微量元素の特異な席選択性等の本質について多くの成果が得られた。微量元素の電子状態・構造、配位環境、動的振る舞い、化学結合性等を高い精度で解析することができた。隕石衝突により形成されるテクタイトガラスには、超高温・衝撃圧縮情報がCaなど意外にも、MnやSbの局所構造に凍結されていることを本年度明らかにした。超高温で形成されたケイ酸塩融体が、急冷されることでSnやZn等は珍しい配位席を占有し、多くの元素は低価数・低配位数を準安定的に凍結している。マントル鉱物やアナログの超高圧鉱物にみられる元素の常圧下での状態に比べ高い配位数環境や異常価数状況や低スピン状態、元素分配の特異性等の本質を解明している。ポストペロブスカイト型化合物の熱振動特性・静的分布とその鉱物学的重要性を明らかにした。ポストペロブスカイト型固溶体は、地球型惑星の物理的性質を知るうえで重要である。ポストペロブスカイト型構造は大きな局所的構造歪を持っているが、熱振動等の挙動は一般的な法則に従っていることを実験にて確かめた。多くの鉱物では結晶状態で、特定席の特定イオンが局所的に静的な大きな変位をし、構造を緩和していることで特異な性質が現れる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
下部マントル最底部を構成しているポストペロブスカイト型構造の詳細研究や極限環境下でのその場観察実験、超高温の研究に成功するなど、新しい成果が得られ、国際誌に投稿中が多くあり、新しい観測・測定・解析方法の開発が順調に進んだ。また、極限環境下からのクエンチ実験等でも多くの新しい成果が得られた。いずれも世界的な新発見を含んでいる。目的物の精度高い結果を得ることができ、世界に先導できていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに対象物を広げて、研究を発展・展開してゆく。新たな挑戦として、さらに装置の高度化と手法の公表と広いユーザー確保に努力して、若手研究者・次世代の育成にも貢献したい。
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