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2011 年度 実績報告書

有機半導体・絶縁体界面における分子構造とキャリアダイナミックスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22245001
研究機関京都大学

研究代表者

松本 吉泰  京都大学, 理学研究科, 教授 (70181790)

研究分担者 竹谷 純一  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20371289)
キーワード有機半導体 / 表面・界面 / 非線形分光 / キャリアダイナミックス / 電界効果トランジスタ / 変調分光スペクトル / ルブレン / 正孔
研究概要

ルブレン単結晶を用いた電界効果トランジスタにおけるポンプ・プローブ実験において、ポンプ光による多光子吸収に基づく帯電がデバイスの特性を大きく乱すことが明らかになった。したがって、強いレーザー光を用いることは不適当であるため、むしろ比較的弱い連続光によるルブレン・絶縁体界面に注入されたキャリアのゲート電圧変調分光スペクトルを反射型の配置で精度よく測定した。
反射スペクトルは電界効果トランジスタのチャンネル部分の多層膜内での多重反射による干渉効果によって大きな強度変調が観測された。この影響を正しく取り扱うために多重反射を明示的に取り入れたモデルを導入し、解析を行った。その結果、ゲート電圧を負にしたときに注入された正孔に由来する電子遷移スペクトルを抽出することに成功した。正孔は1.4~2.2eVにかけてブロードな吸収持つ。時間依存密度汎関数法により計算することにより、この吸収帯の原因となっている電子遷移を同定した。
また、4端子伝導性とホール効果を圧力の関数として測定したところ、圧力の増加に伴い、伝導性が増加することを見いだした。これは、圧力による分子間距離の短縮により、分子間の電荷移動が促進されたためと考えられる。
一方、ジナフトチエノチオフェン薄膜を用いた電界効果トランジスタについても同様の変調分光スペクトルを測定すると共に、同分子の薄膜における過渡吸収分光の初期的な測定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ルブレンを用いた電界効果トランジスタにおける実験ではルブレン単結晶の厚みがほぼ観測しようとする光と同程度の波長を持つため、反射スペクトルには多重反射による光干渉効果が顕著であり、これを解析するのにかなりの時間を費やした。このため、ジナフトチエノチオフェン薄膜を用いた電界効果トランジスタやその薄膜における過渡吸収分光の測定にあまり時間を割くことができなかった。しかし、これらに関しても結局初期的な計測は行うことができたため、ほぼ予定通りに進行している。

今後の研究の推進方策

基本的には今年度行ったジナフトチエノチオフェン薄膜を用いた電界効果トランジスタ、およびその薄膜における過渡吸収分光を本格的に行う予定である。特に、電界効果トランジスタにおいて注入された正孔は、ルブレン単結晶を用いたものに比べてこの系ではより低いエネルギーにおける吸収バンドが予測されるので、近赤外領域により感度を持つ検出器を用意して実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Charge transport and Hall effect in rubrene single-crystal transistors under high pressure2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Okada, K. Sakai, T. Uemura, Y. Nakazawa, and J. Takeya
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 84 ページ: 245308

    • DOI

      DOI:10.1103/PhysRevB.84.245308

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Solution-crystallized organic field-effect transistors with charge-acceptor layers : high-mobility and low-threshold-voltage operation in air2011

    • 著者名/発表者名
      J.Soeda, Y.Hirose, M.Yamagishi, A.Nakao, T.Uemura, K.Nakayama, M.Uno, Y.Nakazawa, K.Takimiya, J.Takeya
    • 雑誌名

      Adv.Mater.

      巻: 10 ページ: 1,022

    • DOI

      10.1002/adma.201101027

    • 査読あり
  • [学会発表] 電荷変調反射分光によるルブレン単結晶トランジスタのキャリアの電子状態観測2012

    • 著者名/発表者名
      宮田潔志, 石野雄太, 渡邊一也, 三輪一元, 植村隆文, 竹谷純一, 松本吉泰
    • 学会等名
      第59回応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-02-16
  • [学会発表] ポンプ-プローブ分光によるジナフトチェノチオフェンの電子励起状態ダイナミクス2012

    • 著者名/発表者名
      石野雄太, 宮田潔志, 渡邊一也, 三輪一元, 植村隆文, 竹谷純一, 松本吉泰
    • 学会等名
      第59回応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-02-16
  • [学会発表] Electronic states of carriers in organic field-effect transistors2012

    • 著者名/発表者名
      K.Miyata, Y.Ishino, K.Watanabe, K.Miwa, T.Uemura, J.Takeya, Y.Matsumoto
    • 学会等名
      2012 NTHU-KAIST-Kyoto Junior Chemist Symposium
    • 発表場所
      Hsinchu (Taiwan)
    • 年月日
      2012-02-14
  • [学会発表] ルブレン単結晶トランジスタにおける有機半導体/絶縁体界面に注入されたキャリアの電子状態2011

    • 著者名/発表者名
      宮田潔志, 石野雄太, 渡邊一也, 三輪一元, 植村隆文, 竹谷純一, 松本吉泰
    • 学会等名
      表面・界面スペクトロスコピー
    • 発表場所
      三浦
    • 年月日
      2011-12-02
  • [学会発表] 電荷変調反射分光によるルブレン単結晶トランジスタのキャリアの電子状態観測2011

    • 著者名/発表者名
      宮田潔志, 石野雄太, 渡邊一也, 三輪一元, 植村隆文, 竹谷純一, 松本吉泰
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] 過渡吸収分光によるジナフトチェノチオフェン(DNTT)固体の電子励起状態ダイナミクス2011

    • 著者名/発表者名
      石野雄太, 宮田潔志, 渡邊一也, 三輪一元, 植村隆文, 竹谷純一, 松本吉泰
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011-09-20

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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