研究課題
フラーレンの部分構造で示されるボウル型分子(πボウル)は非平面π共役系におけるフラーレンやカーボンナノチューブに次ぐ第3の鍵物質群として考えられている。本研究はπボウル「スマネン」を基軸とし、その有機合成・材料的ポテンシャルを顕在化させ日本発のカーボンナノサイエンス・テクノロジーとして世界に発信することを目指している。スマネンからボウル構造の深いπボウル骨格の構築に取り組んだ。スマネンとジアリールケトンを縮合して得られたπ共役系拡張化合物に対して、DDQとSc(OTf)3により脱水素酸化を行ったところ、縮環反応が進行しヘミフラーレン骨格を有するπボウルが高収率で合成できることを見出した。含窒素グラファイト化合物を合成するために、窒素を含むスマネン誘導体のレーザ誘起グラファイト化に引き続き取り組んだ。グラファイト化の閾値を求めるために、ラマン分光器のレーザを活用し、そのレーザ出力を変えながらラマン測定を行うことで、グラファイト化のその場観察を行う方法を開発した。化合物探索効率の大幅な上昇に繋がった。スマネニルトリアニオンを発生させ、3核のスマネニルジルコノセン錯体を合成した。DFT計算より、ボウルの外側から錯形成したC3対称分子の生成が示唆された。また、単核スマネニルメタロセン錯体を用いた触媒反応に取り組み、カルボアルミネーション反応等を検討した。Ag(111)面上におけるスマネン単分子膜をSTMにより観察したところ、スマネンの吸着は凹面を上にする向きが凸面を上にするよりも有利であることが判明した。また、多くのスマネンが集合し形成された単分子膜では、凹面を上に向けた6つのスマネンに囲まれたスマネンが反転し凸面が上に向くことが明らかになった。また、この単分子膜にメタンガスを導入するとスマネンの凹面にメタン分子が吸着することが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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