研究課題/領域番号 |
22245009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陰山 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40302640)
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研究分担者 |
高野 幹夫 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点教授 (70068138)
岡田 卓 東京大学, 物性研究所, 助教 (90343938)
川上 隆輝 日本大学, 理工学部, 講師 (20366561)
林 直顕 京都大学, 学際融合教育研究推進センター, 特定専門業務職員 (70346047)
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キーワード | 平面四配位 / 鉄 / 高圧X線回折 / 高圧メスバウアー / スピン転移 |
研究概要 |
本研究では、2009年に報告した無限層構造SrFeO2の圧力下でのスピン転移、絶縁体金属転移、反強磁性強磁性転移をもとにしたものであり、これらの転移の起源の解明、転移圧力の制御、さらには、磁気的、電子的、構造的に新しい現象を見出そうとすることを目的としている。初年度には、以下の四つの成果が得られた。(1)無限層構造SrFeO2についてFeサイトのCo、Mn置換体を合成し、常圧下では、Co置換体は殆ど磁性の変化は観測されなかったが、Mn置換体では、大きくG-type秩序が不安定化することが見出された。これは、面間のFe-Coが強磁性相互作用でありFe-Feの反強磁性相互作用との間にフラストレーションが生じることが原因であることがわかった(Inorg.Chem.2011年3月に出版)。(2)無限層構造SrFeO2について、150GPaまでの圧力でのメスバウアー実験を行ない、内部磁場がゼロである新しい相の存在を示唆する結果を得た。現在もこの相の解明のため各種実験を継続している。(3)スピン梯子構造Sr3Fe2O5が圧力下にて、SrFeO2と同様に、高スピン状態(S=2)から中間スピン状態(S=1)へのスピン転移、絶縁体金属転移、反強磁性強磁性転移の3つの相転移を起こすこと、その転移圧力はSrFeO2とほぼ同じ34GPaであることを見出した。これらの実験結果は、スピン転移には構造の次元性よりは、面間のFeO4-FeO4の局所的環境が重要であることを示している。また、これらの転移よりも低い圧力の30GPaにて構造相転移を見出した。これらはスピン梯子の位相のずれに起因する(J.Am.Chem.Soc.に出版)。(4)Srn+1FenO2n+1のn=1に相当するSr2FeO3の合成に成功した。現在、その構造、磁性測定を終え、解析をすすめているところである。
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