研究課題/領域番号 |
22245014
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西山 久雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40135421)
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研究分担者 |
山本 芳彦 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60283412)
伊藤 淳一 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20402480)
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キーワード | 有機合成 / 不斉触媒 / 遷移金属錯体 / 鉄 / ルテニウム / 不斉合成 |
研究概要 |
有機合成は、ものつくりの原点であり、分子結合生成と解離を人工的に行える科学技術として普遍性を有し、極微量の触媒を用い常温・常圧で100%で進む高原子効率ならびに省エネルギープロセスに到達すること望まれる。また、通常レベルをはるかに越える高性能かつ超効率的不斉合成触媒と反応を創出することが本研究の目標である。 本研究では、新しい遷移金属錯体の還元種を鍵触媒として、市販され入手容易な基質用いたカップリング等の大量合成に耐えうる実践的な力量ある炭素分子骨格構築法ならびに官能基変換法を開発する。電子豊富な還元状態にある金属錯体たとえば低原子価の錯体の反応系中で発生させ、ここから起動させる反応と連続的に起こす炭素炭素結合生成や官能基変換など新規な反応を研究するものである。オレフィン骨格をヒドロメタル化や元素メタル化してはじまる一連の還元やアルキル化反応を機軸に、連続的に炭素骨格を合成する高原子効率な方法を総合的に研究する。 本研究の二年度においての実績は、継続してアルキニル化を検討していたが、ビスオキサゾリニルフェニルロジウム錯体によるケトエステル類の不斉アルキニレーションに成功し考察を加えた。さらに、環境調和性を目指したビスオキサゾリニル鉄錯体の合成に成功し不斉ヒドロシリル化反応に活性があることを示した。また、ビスオキサゾリンルテニウム錯体では、ケトン類の不斉水素化に成功しているが、微量の嵩高い光学活性アルコールによってエナンチオ選択性が向上する現象を発見した。論文はChem.Commun.誌のInside Coverに選ばれた。ビスオキサゾリンアミン配位子を利用した鉄触媒による不斉ヒドロシリル化反応で、極めて稀な生成物り絶対配置の転換現象を発見しが、さらにルイス酸である塩化亜鉛が効果的であることを発見した。また、ルテナシクロペンタジェン構造を経由する変換反応を発見し、触媒的なジインの還元的な環化反応への展開に成功したので、さらなる合成的有用性を追求する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ルテナシクロペンタジエン錯体を用いる還元系カップリング反応では、順調に成果を上げている。また、ビスオキサゾリン系では鉄錯体の合成と触媒反応への展開が至難を極めているが、不安定性の問題を解決して進める予定である。ビスオキサゾリン系では、ロジウム錯体で新たな触媒機能を発見して進めているので展開が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次の項日を重点的に検討し、当初目的を逹成する。(1)ルテナシクロペンタジエン系では、酸化的な環化反応への展開と官能基導入型反応の開発を進める。(2)ビスオキサゾリンロジウム系では、不斉共役還元によるビスアリール不斉炭素骨格から医薬品等の基礎骨格を有する化合物合成を検討する。(3)ビスオキサゾリンイリジウム、鉄、ルテニウムの錯体合成を拡げ、CH活性化、新しいアルキニル化を検討する。(4)ビスオキサゾリンアミン系では、新たなレホルマトツキー反応を検討する。いずれも不斉酸化および還元系から起動する反応群を開発する。
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