研究課題
近年、我々は架橋欠陥や絡み合いが殆どない理想的な網目構造の実現を可能にする新規合成法-モジュールビルディング法-を開発し、中性子散乱による精密構造解析および力学物性研究を行っている。本年度では、高度に制御された網目構造を持つ"理想的"ポリマーネットワークを対象に、モジュールの広がりの濃度および分子量依存性の研究、平衡膨潤ゲルの膨潤度測定と力学試験、一軸延伸下での理想網目の変形の研究、不均一性の研究、変形と力学応答の計算機シミュレーションなど、ゴム弾性論や高分子物理学の本質に関わる基本的事項ついて、特に構造と物性の相関の観点から研究し、応用まで視野に入れた精密高分子網目の科学を創成することを目的とした研究を行った。また、このゲルを乾燥させたドライゲルの力学物性と結晶化の研究を行い、結晶化に及ぼす架橋構造の影響について議論した。一方、新たな展開として、(1)網目結合度を自在に制御することに成功し、ゲルの力学強度を網目結合度の関数として実測する傍ら、計算機シミュレーションを行い、両者の良好な一致をみた。さらに、(2)モジュールビルディング法によるゲルの調製をイオン液体中で行うことにも成功し、高性能イオンゲルの開発指針を得た。
1: 当初の計画以上に進展している
研究代表者および分担者との連携が非常に円滑に行われ、また、共同勉強会を実施していることもあり、当初計画以上に進展している。
震災の影響で、国内での中性子散乱実験(日本原子力研究開発機構所有の研究用原子炉JRR-3)ができない状況がつづいているので、海外での実験を計画している。原子炉が平成24年度(最終年度)後期に復旧すれば、集中的に実験を行い、計画の完全実施を期す。
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