研究課題/領域番号 |
22245022
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
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研究分担者 |
藤塚 守 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40282040)
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50314422)
立川 貴士 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20432437)
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キーワード | 高励起状態 / 分子素子 / 電子移動 / Marcus理論 / オリゴチオフェン / 光触媒 / MOF / 単一分子分光 |
研究概要 |
本研究ではレーザー光の多段階照射や短波長光照射、さらには多光子吸収により生じる高励起状態から進行する化学反応を検討することにより、分子素子の創製、環境汚染物資の分解、光線力学療法への展開を目的としており、研究初年度においては、超高速分光法を用いた高励起状態の直接観察の確立および分子素子への展開さらには光触媒メカニズムの解明を目指し、以下の研究を行った。 (1) 高励起三重項状態から進行する電子移動過程の解明。オリゴチオフェンにレーザー光を多段階照射することにより高励起三重項状態を生成した。溶媒中に電子アクセプターが存在する場合には電子移動が起こり、その速度はMarcus理論に従うことを明らかにした。さらにオリゴチオフェンとアクセプターを結合させたダイアッド分子にフェムト秒レーザーを二色二レーザー照射した場合には、高励起三重項状態を経た分子内電荷分離を示す寿命変化が起こることを確認した。 (2) 多孔性メタルオーガニックフレームワーク(MOF)による光触媒過程の解明。発光性のEu^<3+>と1,3,5-benzenetribenzoateリガンドを用いたMOFを作成し、Eu^<3+>発光強度および寿命を測定することで溶媒中の有機化合物の酸化過程を検討した。Eu^<3+>の消光は電子移動の自由エネルギー変化を反映することを明らかにした。さらに、共焦点顕微鏡による蛍光解析より、酸化活性のMOF位置依存性を明らかにすることで、MOF光触媒のサイズ選択的活性の可能性を示した。また、その他のMOFに蛍光プローブを挿入することによりMOF内における極性環境変化を明らかにすることで、MOFの光触媒としての有用性を検討した。
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