研究課題
平成22年度は、「キラルネマチック液晶の実時間螺旋ピッチ光制御」と「ホログラム光学系の構築およびアモルファスフォトクロミック薄膜を用いたホログラムの作製」に取り組んだ。ネマチック液晶に少量のキラリティを有する光学活性物質を添加すると、液晶分子の配向方向が連続的に回転した螺旋構造を有するキラルネマチック相を形成する。キラルネマチック相は螺旋周期(ピッチ長)と同等の波長の光を選択的に反射する性質を持つため、ピッチ長が可視光領域の波長程度であれば液晶は色づいて見える。この選択反射を利用したキラルネマチック相の表示素子は、従来の液晶表示素子に必要不可欠なバックライト、偏光板、カラーフィルターなどを省くことができ、重要な液晶技術の一つである。キラルネマチック相のピッチ長は、添加する光学活性物質の濃度、光学純度、分子構造や温度に敏感に反応して変化するため、様々な外部刺激による制御が研究されてきた。本研究では、フォトクロミック分子を用いた光制御を行う。キラリティを有するフォトクロミック分子をドープさせた液晶に特定の光を照射すると、フォトクロミック分子の分子構造変化によってキラルネマチック相が変化するため、液晶相の光制御が可能となる。平成22年度には新たなキラル高速フォトクロミック分子を開発し、光照射によるキラルネマチック相から等方相への高速光相転移の実現に成功した。次年度以降には、大きな螺旋誘起力を有する新規フォトクロミック分子を開発し、可視光波長と同程度の螺旋ピッチ長を有するキラルネマチック液晶の実現を目指す。
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Org.Lett.
巻: 12 ページ: 4152-4155
http://www.chem.aoyama.ac.jp/Chem/ChemHP/phys3/top/abe.html