研究概要 |
緑色光合成細菌の膜外アンテナ部であるクロロゾームの構成クロロフィル(バクテリオクロロフィルc・d・e)をモデルとして、新たに会合性ポルフィリン類を合成した.。まず、3-ヒドロキシメチル-13^1-オキソクロリン亜鉛錯体を基本骨格として、その誘導体を合成し、その自己集積能を検討した。クロリンπ骨格のB環上である7,8位に2級や3級のアルコール性水酸基を導入しても、3位上の1級水酸基に基づく自己会合を乱さないことが判明した。また、13位のケトカルボニル基を還元して、2級水酸基に変換しても、自己会合能に大きな影響を与えないことが判った。この際には、13^1位上の2級アルコール性水酸基の酸素原子が、原型のケトカルボニル基の酸素原子と同様に、3^1位の水酸基に対する水素結合受容体として機能することが明らかになった。 次に、17位上のエステル鎖として、直鎖状のオリゴメチレン基(炭素数1から24まで)を導入したところ、いずれの化合物も同様のJ型のクロロゾーム様自己会合体を形成することが判明した。この自己会合体の構造を、原子間力・走査電子・透過電子顕微鏡を用いて検討したところ、直径約5nmの棒状構造体が見られた。その長さは調製時の条件にもよるが、数μmを超えるものが観測され、そのアスペクト比は1000を超えていた。このような棒状超分子構造体は、オリゴメチレン鎖が長いほど形成しやすく、超分子を構成する分子の長鎖アルキル鎖間での(超分子内)分子間相互作用が生じていることを示している。
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