研究課題
1. 会合性ポルフィリン類の合成:クロロゾーム型クロロフィルをモデルとして、アキシャル配位子を取りやすいポルフィリン亜鉛錯体の3位上の置換基に、種々の酸素官能基を導入した化合物を新たに合成した。また、バクテリオクロロフィルeを生合成する緑色光合成細菌を遺伝子改変(7位のメチル基の酸化を阻害)して、クロロゾーム型クロロフィルであるバクテリオクロロフィルcの新たな同族体を生化学的に合成した。2. J会合体の構築:上述の合成ポルフィリン分子を、中性界面活性剤であるTriton X-100水溶液中に分散させて、クロロゾーム型J会合体を形成させた。31位に水酸基があっても、32位に酸素官能基を導入すると、J会合体を形成しにくいことが判明した。3. 超分子構造を規制した会合体の構築:緑色非硫黄光合成細菌から単離精製したバクテリオクロロフィルcを、低極性有機溶媒中に分散せると、直径5nmの針状のJ会合体を形成することを、原子間力顕微鏡で明らかにした。この構造体は、クロロゾーム中で見られるロッド構造と酷似していた。4. 階層を制御した超・超分子系の構築:自己集積型のクロロフィル分子の17位エステル部に相互作用しうるウレア型官能基を予め導入しておくことで、クロロフィルJ会合体同士が相互作用することを、極低温透過電子顕微鏡で確認した。5. 超分子系での機能創出:バクテリオクロロフィルeからなる天然のクロロゾームにおける光収穫・励起エネルギー移動を、時間分解分光法を用いて検討し、超高速・高効率励起一重項エネルギー移動を確認した。人工系でも同様の結果が得られた。あわせて、近赤外光励起によってポルフィリンπ系のJ会合体から電極への電子移動が可能であることも明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
1)会合性ポルフィリン類の合成は、天然クロロフィルの有機化学的改変と、緑色光合成細菌の遺伝子改変を利用することで、予想以上の進展が見られた。2)J会合体の構築と3)超分子構造を規制した会合体の構築と4)階層を制御した超・超分子系の構築は、ほぼ予定通りの進展がみられた。5)超分子系での機能創出については、平成26年度に向けての発展の基礎となるところには成功しており、達成度は及第点と考えている。
これまでの研究成果を基にして、さらに1)新規な会合性ポルフィリン類の合成と2)それらのJ会合体の構築を行いつつ、3)超分子構造を規制した会合体の構築と4)階層を制御した超・超分子系の構築と5)超分子系での機能創出を進めていく。1)-5)を統合して、各種基板上での6)光応答超分子ナノデバイスの創製も目指す。
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