研究概要 |
塩化チタンを原料とする急速加熱・急速冷却気相酸化反応による十面体(あるいは八面体)形状酸化チタン調製の条件最適化をはかった.まず,急速加熱・急速冷却の実現と精密制御をはかるために,既存の赤外線電気炉と石英管,および白金箔を使用した加熱装置の改良を行った.反応ガスである塩化チタンと酸素の混合気体を石英管内を通過させながら,石英管の外壁に巻いた白金箔が赤外線を吸収し,その部分のみが加熱されて急速加熱・急速冷却が実現できる.本年度は,(1)石英管の内径,(2)白金の幅(加熱時間),(3)加熱設定温度,あるいは(4)導入時の気体の加熱温度などの加熱条件について検討するとともに,装置を改良した.さらに,(5)塩化チタンと酸素の混合比,(6)流速,などの最適化を図り,大比表面積,シャープなエッジをもつ均質な十面体形状,および粒径の単分散化の指針が得られた.結晶形態を制御した光触媒微粒子の結晶欠陥量評価と形状との相関関係の解析については,上記の手法により調製したアナタース型酸化チタン微粒子について,これまでの研究代表者らが開発してきたさまざまな結晶欠陥測定法を駆使して,結晶欠陥の質(エネルギーレベル),密度,および表面と内部の分布を解析し,特定の結晶面が露出していない通常の微結晶との比較や結晶面が接するエッジの鋭さなどがあたえる影響を統計解析にもとづいて検討し,この手法が有効であることを確認した.さまざまな光触媒反応に対する光触媒活性評価と結晶形態の影響の解析については,試験対象とする6種類の光触媒反応について現有およびあらたに調製した酸化チタンを光触媒として用いてデータの収集を行い,上記の統計解析手法にもとづいて解析した結果,酸素を含む反応系の活性が,結晶形態を制御の影響を検討するのに有効であることを明かにした.
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