研究課題/領域番号 |
22245037
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 亮 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80256495)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高分子ゲル / バイオミメティックス / 振動反応 / 機能性材料 / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
自励振動高分子を用いたポリマーブラシ表面の作製とその評価を試みた。高分子鎖長のそろったポリマーを重合できるATRP法により、基板から高密度に自励振動ポリマーをグラフト成長させたポリマーブラシ表面の作製を試みた。ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドのATRPによる合成では、主としてCuCl/CuCl2/Me6TREN (tris(2-dimethylaminoethyl)amine)が触媒として使われることが多い。この触媒系ではCu(I)-XがMe6TRENの末端の3級アミンと錯体を形成するが、重合系にRu(bpy)3モノマーが存在するとビピリジン環の銅錯体が形成されてしまい、触媒が失活する。そこで、末端にアミノ基を有するアクリルアミドを組み込んだポリマーブラシを作製し、Ru(bpy)3はポリマー合成後にスクシンイミジル基とアミノ基の化学結合によってポリマー鎖に導入した。重合条件の探索(適切な溶媒系と開始剤・触媒の選定など)とともにRu(bpy)3導入量の評価を行った。作製したグラフト基板に対し、自励振動現象をAFMや蛍光観察システム等で解析・評価した。 モノマー濃度あるいは溶液に添加する開始剤の濃度を変化させることで異なる鎖長を有するポリマーブラシ表面を作製した結果、添加するフリーな開始剤が少ないほど、また重合のモノマー濃度が高いほど分子量大きいポリマーが得られた。さらに、分子量の大きいポリマーブラシを修飾した表面ほど、ポリマーの修飾量が多く、固定化されたRu(bpy)3量も大きいことが明らかになった。以上の評価から、目的のNIPAAmとRu(bpy)3が共重合した目的の自励振動ポリマーブラシ表面の作製を確認するとともに、修飾するポリマーブラシの鎖長により界面に存在するRu(bpy)3量を制御可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった、ポリマーブラシの作製、重合条件の探索、解析と機能評価を一通り行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーブラシの修飾量が重合開始剤により大きく変化する可能性が示唆されたので、さらに重合条件を検討する。
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