研究概要 |
ブロック共重合体が自発的に作るメソスケールの周期構造形成を基盤にして、次の2種類の方法でナノポーラス構造/ハイブリッド構造構築を実現した。 1)ABC 3成分共重合体とD ホモポリマー混合系 ポリイソプレン(I) – ポリスチレン(S)-ポリ2-ビニルピリジン(P) 3成分3元共重合体(分子量124,000 このうちP 鎖は7,000)にポリ(4- ヒドロキシスチレン)(H)(分子量14,000) を溶液中でブレンドし、溶媒キャストフィルムを作成した。この系では、P – H 間に水素結合が働くため、幅広い組成の範囲でI, S, P+H の3相からなる二重ジャイロイド構造が構築された。この試料フィルムを酢酸洗浄したところ、水素結合が解離し規則的なナノポーラスネットワーク構造を示すことが判明した。 2)AB 2成分共重合体と金属塩混合系 ポリスチレン(S)-ポリ4-ビニルピリジン(4P) 2成分共重合体(分子量73,000 このうちP 鎖は8,500)と塩化鉄とをピリジン溶媒中で混合し、キャストフィルムを得た。4Pブロックと塩化鉄の間には配位結合が働くため、ブロック共重合体の組成に応じて均一かつ周期的な2相からのミクロ相分離構造が観察された。試料から超薄切片を切り出して水に短時間浸けたところ、塩化鉄が溶けだして、ロッドが抜けたナノポーラス構造が得られた。このポーラス構造に硝酸サマリウムを作用させたところ、ポーラス構造表面に析出した4P 成分と硝酸サマリウムが再び配位結合で結ばれ、ポーラス部を金属で再充填することが出来た。
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