研究課題/領域番号 |
22246003
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 崇 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (80360535)
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研究分担者 |
戸川 欣彦 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 特別講師 (00415241)
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キーワード | スピン注入 / 磁気冷凍 |
研究概要 |
電荷の移動を伴わないスピン角運動量の流れである純スピン流は、エネルギーロスの極めて少ないスピン角運動量の伝播を可能にするため、次世代スピンデバイスにおいて幅広い応用が期待されている。本研究では、純スピン流を磁気熱量材料に注入して、スピンエントロピーを制御することにより、磁気冷却効果を実現しようというものである。 初年度に磁気熱量材料Gdへのスピン吸収効果の確認を行ったので、二年目である本年度は、効率的に純スピン流を生成する手法、及び効率的にスピン流を吸収させる構造について、最適素子構造の探索を行った。その結果、以下に示すスピン流の新制御法の開発に成功した。 ●V字型磁性細線を用いた横スピン流の生成と高効率スピン吸収 ●選択的スピン吸収効果を利用した厚膜ナノ磁性体における側面スピン吸収効果 ●多端子スピン注入による巨大スピン流の生成 ●ナノピラー構造による高効率純スピン流生成と検出 更に、上記技術を組み合わせたGd細線への純スピン流注入素子の試作を行い、現在、冷却効果等の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新しく開発したバックグランド電圧による温度検出法により、実際に冷却効果を観測することに成功した。当初、如何に局所的な領域の温度を検出するかが課題であったが、本手法により、特別な素子構造を作製することなく、高精度で検出することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
純スピン流による冷却効果は観測できたが、まだ、その冷却能力は、極めて小さい。既に、高い生成効率での純スピン流の生成に関しては開発できているので、スピン抵抗の小さい磁気熱量材料の開発が、素子性能向上に向けて、極めて重要な課題となると考えている。最終年度は、物質合成などを行い、低抵抗率でナノ構造でも機能する磁気熱量材料の開発に主眼を置く。
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