研究概要 |
本研究の目的は、フォノンによるプラズモンの超高速変調を調べることにより、ナノスケールにおける音響光変調の分野を開拓することである。様々なプラズモニックナノ構造において光学的な方法でGHzコヒーレントフォノンを生成し、観測される振動周波数を数値計算の結果と比較する。 1)装置の作製:ポンププローブ法を用いたイメージング装置を作製した。ピエゾステージを用いて2μm角の領域を走査し400点で測定を行った。 2)試料:直径600~1600nmの(部分)球状ボイド構造を持つ金薄膜をテンプレート法によりガラス基板上に作製した。この際、薄膜厚さを傾斜分布させることにより、様々な深さのボイド構造を同一基板上に形成した。さらにEOTナノ細孔を2次元正方格子状に配列した試料を電子ビームリソグラフィーにより作製した。細孔幅は130nm,ピッチは300nmである。また、ナノ加工法により、サファイヤ基板上に直径1~2μmの音響レンズを作製した。 3)測定:[ナノポイド試料]ポンプ光とプローブ光を直径1μmに集光して試料上の同一位置に照射し、試料を面内方向で走査することにより、様々な深さのナノボイド構造においてGHz振動のイメージングを行った。ポンプ光に波長400nm,プローブ光に波長800nmの光を用いた測定結果について、時間領域のフーリエ変換を行い、励起されたGHz振動の同定を行った。イメージング結果により、それぞれの振動のモードパターンが明らかになった。観測された主要な振動周波数およびそのボイド深さ依存性は、PZFlexを用いた数値計算結果とよく一致した。また、COMSOLを用いて、これらの構造におけるプラズモンモードのモデリングを行った。[EOT構造]波長415nmの光をポンプに、波長740-860nmの光をプローブに用いてポンププローブ測定を行い、振動数8GHzのモードを観測した。これは周期構造中に励起されたゾーンセンター表面波モードと考えられる。
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