研究課題/領域番号 |
22246012
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
O・B Wright 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281790)
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研究分担者 |
松田 理 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30239024)
友田 基信 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30344485)
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キーワード | プラズモン / コヒーレントフォノン / イメージング / 音響光変調器 / 異常透過現象 |
研究概要 |
本研究の目的は、フォノンによるプラズモンの超高速変調を調べることにより、ナノスケールにおける音響光変調の分野を開拓することである。様々なプラズモニックナノ構造において光学的な方法でGHzコヒーレントフォノンを生成し、観測される振動周波数を数値計算の結果と比較する。 1)装置の作製:ポンププローブ法光学系と超精密ピエゾステージを組み合わせ、ピコ秒時間分解能およびサブミクロン空間分解能の時間分解音響振動イメージング装置を作製した。また400-1200nm の波長範囲でプラズモニックナノ構造の反射率測定を行うための自動3軸ゴニオメータを組み込んだ分光装置を作製した。 2)試料:豪Swinburne大のS.Juodkazis教授の協力によりピコ秒音響波をプラズモニックナノ導波路に収束させる音響ナノレンズ構造を作製した。また既に作製したナノボイド試料および異常光伝播(EOT)試料も用いた。さらにデンマークのAarhus大のD.Sunderland教授の協力によりナノリング試料も作製した。 3)測定とシミュレーション:ポンプ光とプローブ光を試料上の同一位置に集光照射し、試料を面内方向で走査することにより、試料のGHz振動のイメージングを行った。測定結果の時間領域フーリエ変換を行い、励起されたGHz振動の同定を行った。ナノボイド試料においては、測定結果よりそれぞれの振動の面内モードパターンが明らかになった。観測された主要な振動周波数およびそのボイド深さ依存性は、PZFlexを用いた数値計算結果とよく一致した。EOT試料においては、韓国ソウル大のH.Kim教授の協力により電磁場のフーリエモーダル解析を行った。これによりナノスケール領域での音響光相互作用による光散乱についてのより深い知見が得られた。ナノリング試料においては直径120nm の試料の測定を行い、振動モードの同定およびそのプラズモンとの相互作用の知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノボイド試料の研究においては実験・解析は終了し、現在論文を作成中である。達成度は80%である。EOT試料の研究においては、実験は終了し、現在理論解析中である。達成度は60%である。ナノ導波路試料については音響レンズ構造は作製済であるが導波路構造は現在作製中である。達成度は30%である。ナノリング構造は、本研究プロジェクトにおける派生的研究であるがほぼ終了しており達成度は100%である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は高周波数音響波工学とプラズモニクスの結合領域に属する。この研究領域は緒についたばかりで、様々な基本的問題が未解明である。特に音響ナノ光学の分野は、我々が初めて確立しようとしているものである。また、我々はこの研究プロジェクトにおいて音響センサーなどの実際的な応用も視野に入れている。この応用研究においてはフォノニックプラズモニクスの理解に基づいた低コストの音響センサーの開発が課題となる。
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