研究概要 |
近年の多くの工業製品は大型機器から電子デバイスに至るまで,優れた機能や性能を発揮するために積極的に各種の材料を組み合わせたマルチマテリアル構造体となっている.このような構造体においては,異なる材料同士の表面・界面の特性が,その性能を大きく支配することが知られており,優れたマルチマテリアル構造体を製造するためには,表面・界面の特性をいかに制御するのかが重要な課題となっている.本研究では,近年利用が高まっている高分子系多層薄膜構造体に焦点を絞り,その機能ならびにその強度を支配する表面・界面の化学的・力学的場(ケモメカニクス場)を実験的に究明するとともに,ミクロ階層構造を考慮したケモメカニクス場の解析手法を提示し,界面構造の最適設計手法を確立することを目的として研究を進めた.高分子基板上に高分子薄膜を形成させたモデル試験片について,作成した多軸駆動形はく離試験機や引掻き試験機により界面強度特性の評価を行うとともに,界面の損傷やはく離の進行過程ならびに破面をレーザー顕微鏡などにより観察を行った.また,ナノインデンテーション試験に逆問題解析を組み合わせることで,表面・界面の力学的特性を評価法する手法ついて検討を進めた.
|