研究概要 |
本研究では、微細構造によってゴム表面に機能性を発現させることで新たなソフトメカニズムを実現することを目的としている.本年度実施した研究は以下である. 1.精密ゴム転写技術 微細構造ゴムを型成型によって実現するため,チャンバー内にモールドを配置し,その後,チャンバー内を真空にした状況で加硫前の液状ゴムを注入にする手法を構簗した.この手法によって極めて高精度なゴム転写が可能となり,以下に記述する2~4のデバイスが実現可能となった. 2.可変型光回折シート 構造色を生み出す微細構造をゴム表面に製作し,発色特性を持つゴムを実現するとともに,これをラバーアクチュエータへ適用し,センサとしての可能性を実験的に確かめた.製作した微細構造はピッチ1nm,深さ300nmのラインアンドスペース形状である,ゴムシートの伸長に伴って,そのピッチ間隔が変わるため光の回折状況が変化する.製作したシートを湾曲型のラバーアクチュエータに搭載し,回折光を観察した結果,その発色状態がアクチュエータの運動に依存することが確かめられた. 3.マイクロ吸盤集積シート 吸盤機能をもったゴム微細構造体を集積化したラバーシートを実現すれば多様な表面状況の対象に対しても吸着することが可能となる.直径500mmの吸盤構造体144個を10mm^2のゴムシート上に集積した.この試験シートの性能評価実験から,段差や曲面でも吸着が可能であることを確認した 4.異方性吸盤 将来,上記3を構成する吸盤要素の1つとなり得る異方性機能を実現する吸盤について,形状の導出と製作した単一の吸盤による基礎実験を実施した.非線形有限要素法による3次元構造解析によって,方向依存性のある吸着力を実現する吸盤構造を決定した.また,これを製作し,ガラス表面への吸着力測定を行った結果,容易に剥離が生じる方向と強い吸着力を発揮する方向が存在することが確かめられた
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