研究概要 |
本研究は,ウインドシアー(風による剪断力),降雨およびうねりの3つの因子が同時に存在する風波気液界面を通しての運動量,熱および物質の輸送機構の解明と各々の輸送量の評価を流体工学の立場から風波乱流水槽を用いた室内実験および気液二相流に対する数値計算を用いて行うことを目的とする.平成22年度の研究実施概要を以下に示す. (1)大型風波乱流水槽および高速風洞水槽の整備とフラックスの計測手法の確立:風と降雨とうねりが共存する場合の運動量,物質および熱の輸送実験を行うために,全長20mの大型風波水槽において,砕波気液界面を通してのCO_2フラックスの高精度の計測技術を確立した.また,同ラボに昨年度新規に設置した高速風洞水槽の試運転を行い,少なくとも風速30m/sの風速を実現できることを確認した.さらに,新規に液滴付着防止装置を開発することにより,位相ドップラ式粒子流速計(PDA)を用いた飛散液滴の分散を伴う気流速中での流速測定技術を確立した. (2)気液二相流の数値計算手法の確立と風波気液界面近傍の乱流構造の解明:気液界面を追跡する手法の1つであるLevel-Set法を用いた3次元直接数値シミュレーション(DNS)を単一液滴の自由界面衝突現象に適用することにより,液滴の気液界面衝突に伴って生じる運動量および物質の輸送機構について詳細な検討を行った.その結果,径が小さな液滴の自由界面衝突時における運動量と生成される渦輪の強度の間には,径が大きな液滴と同様の相関関係が成立することを確認した.
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