研究概要 |
本研究では,制限ナノ空間(ナノスケール構造および界面により拘束された流動空間)における溶媒および溶質分子の高次構造,流動性および電気特性の高速・高精度解析を目指し,量子・分子流動ダイナミクスに基づく新しい数理体系の構築とその応用技術を探索する.系に異種界面を包含し,バルクとは異なる分子流動場を制限ナノ空間として統一的に捉え,境界条件や拘束条件下で発現する新奇な物理・化学・生命現象を見出すとともに、これらの理論並びに実験の両面からの解明を目指す.バイオナノテクノロジー,生命機能および環境保全分野における先端的応用技術に関連して,それぞれ,ナノ孔による電気的なDNAシーケンシングや分子トモグラフィー技術開発,生体膜におけるイオンチャネル内の分子流動あるいは燃料電池内異種界面におけるプロトン輸送等の解明が期待される,制限ナノ空間を用いた単一分子解析技術と分子流体科学を深化融合する本研究は,生命機能研究や非平衡統計力学の新機軸を展開し,先端機械の開発による直接的な社会貢献に繋がる 初年度はマルチスケール・マルチフィジックス理論モデルの構築,その検証用の制限ナノ空間製作と計測原理の探求を重視した.特に,分子流の先端計測につながる非接触電気計測,すなわち,多数の微細電極と特殊構造を有するマイクロ・ナノ流路の製作技術確立に挑戦した.従来の微細加工技術だけでなく,最先端のNEMS/MEMS技術を導入し,電子線描画装置と自作ナノインプリンタの併用による新たな基盤技術やノウハウを蓄積している.具体的な研究課題として,蛍光-分子計測や粗視化モデルの開発,Brownian Dynamicsや量子化学解析と流体科学との融合理論開発を進めた.その結果,主に,バイオナノテクノロジー,人工臓器および次世代電池の数理解析・設計手法を流体科学の視点から構築し,国際雑誌や専門会議で公表することができた
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