研究概要 |
燃料電池は、拡散層、触媒層、電解質膜などがサンドイッチ状に積層された面状の多孔質体の中で、酸素、水素、生成水の物質輸送と反応が不均質に生じていることが現象の解明を困難にし、実用化に向けて必須となる高効率発電と劣化防止の実現を難しくしている。多孔質体の外側にあるガス供給流路の中を発電のために消費されながら流れる酸素の速度と濃度の計測により酸素の局所の消費速度が求まり、これにより、水素の消費速度、水分の生成速度、電流密度が多孔質体の面の中でどのような分布をしているのかを明らかにすることができる。酸素の速度をレーザ計測により、"燃料電池が発電している状態"で、"非接触"でかつ"シード粒子などを混入する必要としない"、先進的に計測する手法を新たに開発した。この方法は,1つ目のYAGレーザを燃料電池流路の拡散層に照射し,このレーザ照射により引き起こされるアブレーションで微小な粒子群を発生させ,この粒子群が酸素の速度によって移動することを,2つめのYagレーザを流路の流れ方向に入射させて,そのレーザ光により散乱される粒子群をCCDカメラにより撮影する手法を開発した。この方法は,当初予定していた方法に比べて,ロバスト性があり,SN比も高く,極めて優れた方法である。
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