研究概要 |
燃焼工学にプラズマ工学の概念・手法を導入し,非平衡プラズマ超燃焼システムの現象解明を目的に研究を進めている.以下に研究成果を示す. 1.火炎中の電子エネルギ分布関数の変化とその燃焼化学反応への影響:窒素分子第二正帯の発光強度計測から,予混合バーナー火炎へのマイクロ波照射により火炎中の電子が加熱されることを実証した.また,火炎中の電子のエネルギ分布をモンテカルロシミュレーションにより推定した.火炎中のOHラジカル密度を計測するためのレーザ吸収分光システムを構築し吸収信号を得た. 2.既存マイクロ波プラズマの診断:大気圧下ヘリウム中でマイクロ波プラズマの分光計測を行い,Hβ線発光スペクトルのシュタルク広がり幅から電子密度を算定し,プラズマが非平衡であるという結果が得られた. 3.マイクロ波プラズマによる含水燃料定常燃焼試験:スロットバーナシステムを構築し,当量比の異なるメタン~酸素の予混合火炎および火炎帯下流の分光計測を行った.火炎下流にプラズマを発生させた場合であっても,火炎長に微小な変化が生じることを確認した。また,来年度以降に実施予定のレーザ励起蛍光法に使用する色素レーザーシステムの構築を行った. 4.高圧・高温条件まで含めたプラズマと着火の関係解明,5.既存マイクロ波プラズマを用いた含水燃料の燃焼試験:定容容器において含水エタノール噴霧にレーザ誘起プラズマにより着火を行い,液滴の着火への影響,衝撃波による噴霧への影響が把握できた.試験用単気筒可視化エンジンにおいてマイクロ波プラズマを用いることで,初期の火炎伝播が促進され初期燃焼期間が短縮されること,希薄混合気において燃焼改善効果が大きくなることを確認した.また,CFR単気筒エンジンにおいて含水エタノールを燃料にマイクロ波プラズマを用いたところ,着火安定性の向上,希薄燃焼領域の拡大などを確認できた.
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