研究概要 |
本研究は,長さが10μm程度の微細なビーム型MEMSセンサを用いた流体の新しい熱伝導率測定法と,このセンサの用途展開に関する研究である.本年度の成果は以下のとおりである 1.センサの試作を行い,深さ7.3μmの溝に架橋した長さ9.6μm,幅0.64Fm,厚さ43nmの白金薄膜センサを作製した 2.センサの電気抵抗の温度特性を明らかにするとともに,真空中での加熱実験より流体の熱伝導率測定に必要なセンサの熱伝導率を求めた 3.センサ温度は,加熱開始後に急上昇した後は10秒以上たっても一定のままであった.したがって自由対流の影響のない定常熱伝導状態で容易に温度測定が可能であることを明らかにした 4.加熱によるヒータの温度上昇を,複数の加熱量に対する測定から求める方法を検討した.そして2点測定の場合には1.5K程度の温度上昇の差が必要なことを明らかにした 5.空気およびFC-72を試料としたセンサの加熱実験を行い,センサの温度上昇が試料の熱伝導率に依存することを明らかにし,本測定法が可能であることを実証した 以上に加え,水素検知器の開発を目的として,空気-水素混合気を試料とした簡易測定器の設計製作と実験法の検討を進めている.また,アレルギーセンサ開発のため,IgE抗体の検出を目的として抗体を基板上に固定する方法の検討を行うとともに,レーザラマン顕微鏡を用いた抗体の検出に関する検討を進めている
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