| 研究概要 |
本研究は遺伝情報物質であるDNAをナノワイヤ・ナノパターンの母材として位置付け,また自動位置決めにかかわる性質を応用することにより,機械知能学の観点でナノパターン自動生成に応用しようというものであり,生体高分子の自動認識・組立て機能とMEMS技術の融合を図るところに特色がある.研究全体を通じて,DNAによる自己整合型ナノワイヤの製造方法とその可能性を追求するところが,本研究の目的である.研究ツールとして,AFMによるナノリソグラフ,表面修飾によるDNA単鎖の固定,電子顕微鏡によるまーかーの撮影,観察などの要素技術を用いる.本年度はAFMによるナノパターンの描画とパターン上へのDNA断片の固定について,実験的に検討した.AFMナノパターン描画に関しては,シリコン基板上に各種表面処理剤を塗布し,電圧を加えながら探針を操作することにより,100nmレベルのパターン描画によりDNAを固定するアンカー部の作製を行った.この際,基盤の凹凸の影響を避けるため,針先を細かく振動させて一様にパターンニングする「振動リソグラフィー法」を開発し,アンカー部の安定した描画を実現することができた.一方DNA断片の固定については,数十bp長のものを用い,金チオール結合等を用いてパターン上に固定を試みた.また,これら一連の成果を学会で発表した.実験設備の整備については,計画を前倒しにして,手持ちの電子顕微鏡にパターン発生装置を取り付け,ナノパターン描画・観察の準備を効率的に進めることができた.
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