研究概要 |
上腕切断や脳卒中等により生じる機能不全障害の課題に対して,次の4種類の研究課題を遂行した. a)脳の計測と解析:運動意図に基づき制御される筋電義手使用時に対して,より自然な義手制御を可能とするように,フィードバック部位に対する錯覚現象を利用した,離散的ではなく連続的な触覚フィードバックにより情報を提示し,その時の脳活動をfMRIによって検討した. b)センシングデバイスの検討:柔軟性があり,任意形状での作成が容易な「全方位感圧センサ」を開発した.柔軟素材に炭素粒子を浸透させることにより,柔軟素材の圧力による変形を抵抗値変化として人工指の全側面からの接触情報をセンシングすることが可能となった. c)基盤技術:個性適応型情報処理を搭載する小型(43mm×37mm)なSBC(Single Board Computer)を2つのCPUを搭載し,相互に適切な機能分担を行うように開発した.小児・幼児用義手と手指パワーアシスト装置制御へ適用し,システムのコンパクト化を実現した. d)応用・有用性検討:複雑な構造である拇指CM関節の2自由度をそれぞれ独立にアシスト可能な「拇指CM関節のパワーアシスト」を開発した.これにより,複雑な物体への把持を適切な形でアシストすることが可能となった.また,「全方位触覚フィードバック付き上腕筋電義手」により,手指に配置したセンサ信号からさまざまな物体形状やその大きさを区別可能であることを明らかにした.これにより,把持対象物に合わせた適切なフィードバックが可能となった.
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