研究概要 |
トラクタでトレーラを牽引する大型牽引車は,排気量が大きく平均燃費も2~3km/lと悪いため,環境に与える影響は少なくない。また,積載時のトレーラの重量はトラクタの5倍にもなるため,走行安定性の問題も指摘される。本研究は,大型牽引車の燃費と走行安定性の改善を目的として,トレーラのタイヤ内に装着するためのインホイールSRモータ(SR:スイッチトリラクタンスの略)の開発を行うことを目的としている. 平成22年度の研究においては,40t級トレーラへの適用を想定して,アウターロータ型インホイールSRモータの設計,駆動回路・制御系の設計,および,走行シミュレータの構築を行い,以下のような成果を得た. 1.電磁界解析ソフトウェアおよび磁気回路法を用いた計算機シミュレーションにより,アウターロータ型インホイールSRモータの最適設計を行った.その結果,アウターロータ型SRモータにおいては,固定子極数より回転子極数が少ないほうが高トルクが得られ,固定子30極,回転子20極の場合において,トルク/重量比が最も優れていることを明らかにした. 2.制御回路,および駆動回路の設計を行い,回路シミュレータおよび汎用制御シミュレータを活用した計算機シミュレーションを行った.その結果,大型トレーラ用SRモータの駆動においても,提案制御法・駆動回の有用性を明らかにした. 3.磁気回路法を活用した走行シミュレータを構築し,定められた走行パターンにより,走行特性や損失特性を算定し,提案するインホイールSRモータシステムにより40t級トレーラの燃費を2~3割向上できることを明らかにした. 以上により,本年度の研究目標を十分に達成した.
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