研究概要 |
半導体中の励起子と微小共振器の光モードの強結合によりコヒーレント光を得る「微小共振器結合励起子ポラリトンレーザ」実現のため、H22年度は下記のようにMgZnO系分布ブラッグ反射鏡(DBR)形成準備を行った。 ヘリコン波励起プラズマススパッタエピタキシー(HWPSE)法を用い,水熱合成Zn極性ZnO基板上に,ZnOホモエピタキシャル層、引き続いて約300~700nm厚のMg_xZn_<1-x>O薄膜(x=0.08,0.19)を成長した。Mg_xZn_<1-x>Oは少なくとも膜厚700nmまではZnO下層にコヒーレント成長した。それらの薄膜の室温におけるフォトルミネッセンスおよび陰極線ルミネッセンススペクトルはバンド端(NBE)発光が支配的であり、深い準位に起因する発光帯強度は極めて微弱であった。NBE発光ピークの半値全幅(FWHM)はMg_<0.08>Zn_<0.92>O、Mg_<0.19>Zn_<0.81>Oそれぞれ93meV、118meVと、a面Al_2O_3基板上に成長したMg_xZn_<1-x>O薄膜(x=0.05、0.06)の値(190~330meV)に比べて大幅に減少しており、組成不均一性の少ないMg_xZn_<1-x>O/ZnOヘテロ構造がHWPSE法により形成可能であることを示した。 これらのHWPSE成長ZnO、MgZnO薄膜の屈折率および消衰係数の波長分散を測定し、微小共振器結合励起子ポラリトンの分散曲線を算出した。さらに、MgZnO/MgZnOのλ/4n厚積層構造の計算を行い、MgZnO系DBR形成への指針を構築した。
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