研究課題/領域番号 |
22246037
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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研究分担者 |
宗田 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90171371)
上殿 明良 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (20213374)
羽豆 耕治 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30367057)
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キーワード | 電子・電気材料 / ヘリコン波励起プラズマスパッタ / 酸化亜鉛 / 微小共振器 / ポラリトンレーザー / 縮退四光波混合 |
研究概要 |
半導体中の励起子と微小共振器の光モードの強結合という、半導体レーザとは異なった原理によりコヒーレント光を得る「微小共振器結合励起子ポラリトンレーザ」を実現するため、下記項目を実行した。 (1)ヘリコン波励起プラズマスパッタエピタキシー(HWPSE):高真空型HWPSE装置を用い、水熱合成Zn極性ZnO基板上に、ZnOホモエピタキシャル層およびMg_xZn_<1-x>O薄膜(x=0.08,0.19)の成長を行った。薄膜成長時のスパッタレートの安定性向上を目的とし、自動マッチング装置の導入と、気相合成多結晶ターゲットよりも電流値を高くとれる水熱合成ZnOターゲットの開発および試験を基板メーカーと共に行った。その結果、安定した単結晶薄膜製膜が可能となった。 (2)誘電体分布ブラッグ反射鏡(DBR)の形成:ターゲットにSi、Zr、Hf等の金属を用いる「反応性ヘリコン波励起プラズマスパッタ(R-HWPS)」モードでSiO_2/ZrO_2等のDBRを形成すべく、上記ZnOエビ成長用とは別の高速製膜型R-HWPS装置の開発を行い、その動作確認を完了した。 (3)理論面からのアプローチ:MgZnO/ZnO量子井戸を組み込んだ構造のポラリトン分散計算を詰めるため、精密な反射率計測による振動子強度導出を定式化した。 (4)物理計測:DBRを透過して局所的強励起を可能とすべく、収束電子線の入射と発光の観測系の整備を行った。また、(3)の計算に必要な価電子帯の対称性オーダリングをはっきりさせるべく、縮退四光波混合法を用いたバルクZnOの評価を行った。その結果、気相合成でも水熱合成でも、無歪のバルクZnO結晶ではエネルギーの高い方からΓ_9-Γ_7-Γ_7のオーダリングであることを明らかにした。 (協力体制)研究分担者である上殿教授は陽電子消滅法を用いた点欠陥検出を行い、宗田教授はZnOの価電子帯オーダリングの縮退四光波混合実験とZnO/MgZnO系微小共振器における励起子ポラリトンの挙動計算を行った。羽豆助教は代表者と共にエピタキシャル成長を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「室温動作の可能性が最も高い酸化亜鉛(ZnO)系微小共振器を、研究代表者が提案し技術発展させてきた独自技術でありスパッタ法にして高品位半導体エピタキシャル成長が可能なヘリコン波励起プラズマスパッタエピタキシー法を用いて形成し、光励起や電流注入により励起子ポラリトンのボーズ・アインシュタイン縮退の観測を目指す」に対し、微小共振器の構成部品各々の製膜条件を定め終わった。平成24,25年度に最終目標に届きたい。
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今後の研究の推進方策 |
p型ZnO、MgZnOの成長は技術的に困難であることから、平成22年度申請時の計画調書に記したとおり、p型側のDBRについては、今後はMg添加AlGaN系窒化物半導体共振器を主に検討することとする。また、共振器全体の透明性を高めるため、高純度化に注力する。
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