研究課題/領域番号 |
22246037
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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研究分担者 |
宗田 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90171371)
上殿 明良 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (20213374)
羽豆 耕治 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30367057)
古澤 健太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40392104)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 電子・電気材料 / ヘリコン波励起プラズマスパッタ / 酸化亜鉛 / 微小共振器 / ポラリトンレーザー / 縮退四光波混合 |
研究概要 |
半導体中の励起子と微小共振器の光モードを強結合させ、半導体レーザとは異なる原理によってコヒーレント光を得る「微小共振器結合励起子ポラリトンレーザ」を実現するため、以下の項目を実行した。すなわち、(1)ヘリコン波励起プラズマスパッタエピタキシー(HWPSE):高真空型HWPSE装置を用い、水熱合成Zn極性ZnO基板上にZnOホモエピタキシャル層およびMgxZn1-xO/ZnOヘテロ構造の形成を行った。ターゲット電流の流れやすい水熱合成ZnOターゲットを用いることにより、薄膜堆積速度を従来の3倍程度速くすることができるようになった。(2)窒化物半導体多層膜のエピタキシャル形成:p型ZnOの成長は困難であるため、有機金属気相成長法を用いてAlGaN系DBRの形成を着手した。また、DBR構造の最適化計算を行った。(3)誘電体分布ブラッグ反射鏡(DBR)の形成:ターゲットにSi、Zr、Hf等の金属を用いる反応性ヘリコン波励起プラズマスパッタ(R-HWPS)モードにて、各膜厚をその場観測・制御しながらSiO2/ZrO2等のDBR形成を行う準備が整った。(4)ポラリトンに対するアプローチ:MgZnO/ZnO量子井戸を組み込んだ構造のポラリトン分散計算を詰めるため、精密な反射率計測による振動子強度導出を定式化した。また、特定の電磁波伝搬方向にて、規約表現Γ1励起子とΓ5励起子の混成モードが発生することが明らかになった。(5)物理計測:DBRを透過して局所的強励起を可能とするべく、集束電子線の入射系と発光観測系の整備がほぼ完了した。 (協力体制)研究分担者である上殿教授は陽電子消滅法を用いた点欠陥検出を行い、宗田教授はZnOの価電子帯オーダリングの縮退四光波混合実験とZnO/MgZnO系微小共振器における励起子ポラリトンの挙動計算を行った。羽豆助教は代表者と共にエピタキシャル成長を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
室温動作の可能性が最も高い酸化亜鉛(ZnO)系微小共振器を、研究代表者が提案し独自に技術発展させてきた「ヘリコン波励起プラズマスパッタエピタキシー法」を用いて形成し、光励起や電流注入により励起子ポラリトンのボーズ・アインシュタイン縮退の観測を目指している。微小共振器の構成部品各々の製膜条件を定め終わり、良好な界面の形成も行う事が出来た。最終年度となる平成25年度には、共振器形成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度申請時の計画調書に記したとおり、今年度はZnO系材料とAlGaN系DBR双方の検討を行った。最終年度は、誘電体DBRも含め、可能性のある励起子ポラリトン閉じ込め構造を形成する。
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