研究課題/領域番号 |
22246040
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小田 俊理 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 教授 (50126314)
|
研究分担者 |
小寺 哲夫 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 助教 (00466856)
|
キーワード | シリコン量子ドット / ナノ結晶配列制御 / 量子情報デバイス / 少数電荷センサ / スピン制御量子ビット |
研究概要 |
ナノシリコン量子ドットの精密配列制御により量子情報デバイスの集積化を目指す研究を行い、以下の成果を得た。 (1)ナノシリコンの配列制御には、ディップコーティング法に電気泳動法を組み合わせて、ストライプ構造の発生を抑えた大面積で均一な単層膜の形成に成功した。 (2)ナノ結晶シリコン表面の酸化膜を制御する方法として、ラジカル窒化技術の条件を探索すると共に、無水フッ酸蒸気を利用したエッチング法により、再酸化を抑えることに成功した。無水フッ酸を利用した場合にフッ素原子がシリコンに結合して再酸化を防止するというモデルを提案した。 (3)ナノ結晶シリコン集合体にレーザアニール処理を施して、電子輸送特性と粒径の関係を調べた。 (4)電極間隔9nmのナノギャップ電極の作製技術を確立し、この間に1個のナノ結晶シリコンを配置したデバイスを作製した。クーロン振動や特異な磁場依存性の測定を行った。 (5)電子ビーム露光技術により2重または3重に結合した量子ドットと少数電荷検出用の単電子トランジスタを集積したデバイスを作製した。結合量子ドット中の電荷数を0個、1個、2個と制御することに成功した。また、微小磁石を集積するために、従来のトップゲート構造に変わり、バックゲート構造を持つ結合量子ドットの作製にも成功した。 (6)スピンベースシリコン量子ビットのスピン緩和時間を明らかにする目的で高周波時間分解測定をケンブリッジ大学と共同研究を行い、2重結合電荷センサ集積デバイスの測定を行うと共に、高周波測定系を東工大で構築する準備を整えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ結晶シリコンの配列制御、量子ドットの集積化とも順調に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ナノ結晶シリコン集積構造の電子輸送特性については、窒素ラジカルによる表面窒化技術を確立することが最重要課題である。また、多重結合量子ドットについては、少数電荷状態を制御できるので、スピンブロッケードの観測、スピンコヒーレンス時間の測定が次の課題である。
|