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2011 年度 実績報告書

シリコンチップ背面上厚膜絶縁体層高効率ミリ波アンテナと特性測定システム構築の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22246052
研究機関東京工業大学

研究代表者

廣川 二郎  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00228826)

キーワードシリコンチップ / アンテナ / 指向性 / 放射効率
研究概要

5mm四方のシリコンチップ上に200umの厚さで絶縁体層を形成し,その上に正方形の角を切り落とした円偏波パッチアンテナを同軸給電する構造を検討した。前年度解析・設計した構造に関して,チップとそれを落とし込む治具の間からの漏れを防ぐために設けたチョークが正しくモデル化させていないことが分かった。モデルの修正を行い再設計し,実験値と計算値の間で良好な一致が得られた。
15mm四方のシリコンチップ上に2x2素子の60GHz帯円偏波パッチアレーを構成し,4相発振回路を同軸接続する構造を検討した。RF回路はシリコンチップの下面に格納される。2x2素子のアンテナ層は上面に設け,チップ穴を開けて同軸線路で給電しアンテナとRF回路を一体化した。現状ではRF回路チップは別体であるため,アンテナチップのシリコン基板下面に配線を設け,中央部に1mm角のRF回路チップをフリップチップ実装する構造を設計した。アンテナ部での損失は60GHzで0.8dBと低損失となり,アンテナチップ下面の励振位相調節線路を考慮すると同周波数で1.2dBとなった。同軸部の損失は0.2dB以下と小さいことが分かった。試作を行ったがアンテナチップ下面に厚さ30umの絶縁体層を設ける際にひびが発生した。現段階ではその問題を解決できなかった。
光検出器を用いた小型アンテナ指向性測定において,RF増幅器の動作周波数が50GHzであるため45GHz帯で行った。使用した光検出器が不良のためアンテナからの送信出力が約-50dBが弱くなったので,電波暗箱内に平面走査装置を設けてパッチの指向性を測定した。伝搬距離と受信アンテナの指向性補正を行い,従来の電波暗室でRFケーブルを用いた測定結果と良い一致が得られた。
電波反射箱と5枚の電波攪絆金属板を用いた60GHz帯小型アンテナの放射効率測定システムを構築した。基準アンテナとして利得15dBiのホーンアンテナ、被測定アンテナとしてパッチアンテナを使用し放射効率を測定し約-L2dBが得られた。この値は数値解析値と約0.2dBの誤差である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(a)の半導体作成プロセスに近い手法を用いてシリコンチップ背面に厚膜絶縁体層を形成しアンテナを設ける方法はほぼ確立されたといえる。(b)のRF回路チップとの低損失接続法については設計を終了し,次年度試作するだけである。(c)の光ファイバを用いた指向性測定法は周波数帯が45GHzではあるが確立したといえる。(d)の小型電波散乱金属箱を用いた放射効率測定法は確立されたといえる。

今後の研究の推進方策

今年度試作が成功しなかった,シリコンチップ上に2x2素子の60GHz帯円偏波パッチアレーを構成し4相発振回路を同軸接続する構造の試作だけに最終年度は注力する。まずは,アンテナチップ下面の励振位相調節線路を設けるための厚さ30umの絶縁体層形成時に発生するひびの発生原因を解明する。そして,その発生を防ぐ対策を検討し,ひびを発生させずに厚さ30umの絶縁体層を形成する手法を確立する。その部分だけの試作を行い,ひびが発生しないことを確認し,最終的には全体構造の完成をめざす。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] シリコンチップにおける60GHz帯厚膜誘電体層上円偏波パッチアレーと4相発振回路との同軸接続に関する基礎検討2012

    • 著者名/発表者名
      浅野隼・広川二郎・平地康剛・安藤真
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      岡山大学,岡山県
    • 年月日
      2012-03-20
  • [学会発表] 反射箱を用いた60GHz帯小型アンテナの放射効率測定2012

    • 著者名/発表者名
      細野邦彦
    • 学会等名
      電子情報通信学会東京支部学生会発表会
    • 発表場所
      東海大学高輪キャンパス,東京都
    • 年月日
      2012-03-03
  • [学会発表] Feasibility of Radiation Pattern Measurement using a Photo Detector for Small Antennas in the 60GHz Band2011

    • 著者名/発表者名
      K.Kinoshita
    • 学会等名
      International Symposium on Antennas and Propagation
    • 発表場所
      Lotte Hotel,済州島,韓国
    • 年月日
      2011-10-28
  • [学会発表] 光検出器を用いたミリ波帯小型アンテナ指向性近距離測定の基礎検討2011

    • 著者名/発表者名
      木下和樹・櫻井仁夫・広川二郎・安藤真
    • 学会等名
      電子情報通信学会通信ソサエティ大会
    • 発表場所
      北海道大学,北海道
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] 同軸構造背面給電シリコンチップ厚膜誘電体層上円偏波パッチアンテナの特性2011

    • 著者名/発表者名
      浅野隼・Kimhuey Koh・広川二郎・平地康剛・安藤真
    • 学会等名
      電子情報通信学会通信ソサエティ大会
    • 発表場所
      北海道大学,北海道
    • 年月日
      2011-09-14
  • [学会発表] Fabrication of Antennas on a Thick Resin Layer Fed through a Hole from the Bottom in a Silicon Chip at 60GHz2011

    • 著者名/発表者名
      J.Hirokawa
    • 学会等名
      European Conference on Antennas and Propagation
    • 発表場所
      EUR Congressi, ローマ,イタリア
    • 年月日
      2011-04-14

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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