研究課題/領域番号 |
22246058
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 多門 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00151796)
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研究分担者 |
佐藤 靖彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60261327)
古内 仁 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60165462)
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キーワード | 補強設計 / 接着工法 / 増厚工法 / はく離 / 棒部材 / 面部材 / 疲労 / 環境作用 |
研究概要 |
増厚工法((1)から(3))と接着工法((4)(5))に関する主な成果を以下に示す. (1) PCM(増厚材)-コンクリート(既設部)の界面付着性状は,界面粗度(Ra値)が大きくなるとともにそのせん断付着,引張付着強度が大きくなり,骨材寸法が10から25㎜の場合,Ra値が約1㎜の時が最適である.これに対応するウォータージェット工法の処理深さは,2㎜余りである. (2) 既設部のコンクリート強度が小さくなるほど,かぶり部の付着割裂破壊による終局荷重は小さくなることが実験的に示され,この結果は平成22年度の成果である付着割裂破壊耐力推定モデル(Concrete Tooth Model)で推定できる. (3) 既設部に予め移動輪荷重疲労試験による損傷を与えた状態で増厚補強した後,再び移動輪荷重疲労試験を行うという一連の試験を開始した.最初の供試体において破壊が観察された. (4) 平成22年度の成果である増厚工法用の付着割裂破壊耐力推定モデルが,鋼板およびFRP接着により補強された部材にも適用できることを,従来の多くの実験結果と比較することにより確認した.このモデルを用いて,最適な接着補強材量を,種々の変数(補強材強度・剛性,既設部補強筋強度・量,接着面の幅・位置)の下で示した. (5) 浸水試験より,FRPシートとコンクリートとの接着界面のせん断付着強度は,湿潤状態の影響で若干低下することが明らかになった.この理由としては,FRP,接着樹脂,コンクリートの強度の低下というよりは,接着界面特性の劣化であることが考えられた.そのことと関連して,浸水試験を行わない供試体が表層付近のコンクリートの凝集破壊が支配的なのに対し,浸水試験を行った供試体は接着界面の破壊が支配的である.また,浸水試験を行った供試体の接着界面での引張付着性状は,浸水試験を行わない場合と比較して,より靱性的となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浸水試験が予想より時間を要していることもあり,接着界面の構成モデルの構築が遅れ,数値解析による補強後の部材の挙動のシミュレーションが遅れている.また,移動輪荷重疲労試験も予想以上に時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
浸水試験,移動輪荷重疲労試験は鋭意継続し,その結果の解析から接着界面の構成モデルを迅速に構築し,数値解析によるシミュレーションを年度中に実施する.この数値解析には,当初の予定の有限要素解析だけでなく,既に構築済みの接着界面剥離・付着割裂による部材の破壊耐力推定モデルを適用すれば,短時間で実施できる.
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