研究課題/領域番号 |
22246060
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 基行 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124591)
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研究分担者 |
風間 基樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20261597)
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キーワード | 構造工学・地震工学 / 維持管理工学 / コンクリート構造 / 健全性評価 / 振動試験 |
研究概要 |
本研究は,(1)超高耐力を有する鋼・コンクリート複合杭基礎構造の開発,(2)地盤-杭基礎の動的連成挙動の解明および耐震信頼性設計法の高度化,(3)小型起振機を用いた大型構造部材の損傷検査技術の開発,(4)簡易点検手法に基づく杭基礎構造の構造安全性評価手法の提示,の4つの項目によって構成している.新たに得られた研究成果を以下に示す. (3)小型起振機を用いた大型構造部材の損傷検査技術の開発:小型起振機を用いたコンクリート杭供試体の強制加振試験を行った.提案技術は杭端部から杭長方向に加振することによって杭全体の縦振動を励起し,周波数特性を測定するものであり,理論解とも良く整合する実験データが得られた.特に,杭周辺の地盤条件に依らずに同じ固有振動数が評価できることが示された.このことは,損傷度(塑性変形)と固有振動数の関係に着目した損傷度評価の可能性を示唆している. また,コンクリート部材の損傷度(塑性変形)と固有振動数に関する基礎的データを得るため,RCはり供試体を作製し,曲げ載荷試験による段階的な損傷に対して固有振動数を測定した.その結果,目視では発見困難な軽微なひび割れでも固有振動数の低下によって損傷を検知できることが示され,損傷度(塑性変形)と固有振動数の関係を整理することができた.一方,せん断スパン比が大きい場合には固有振動数の低下が小さくなるため,固有振動数に着目した損傷度評価は難しくなることも示された.これらの実験結果はFEMモデルによる調和振動解析の結果と概ね整合することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の主要検討項目であるコンクリート杭の健全性評価については,当初の予定通りの成果が得られており,地盤条件に依らない振動試験に基づくコンクリート杭の地震時損傷評価の可能性が示唆された.これは本課題に着手する前の基礎検討と研究計画が優れていたためである.
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今後の研究の推進方策 |
地盤に拘束されたコンクリート供試体や実構造物の振動試験を行い,多様な地盤条件と構造諸元および加振条件による振動測定の精度を検討する.さらに,コンクリート部材の損傷位置同定についても検討を進める.
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