研究概要 |
本研究では,都市全域を対象としたインフラ防災・環境制御システムの構築を最終目標とし,都市全域を覆う無線センサネットワークによる実空間情報の生成手法の開発,制御デバイス群の都市全域への適切な分散配置・実空間情報に基づく協調制御手法の開発を行う.具体的には,無線センサネットワークを,実空間の生データ計測と物理シミュレーションの統合による実空間情報生成のための分散処理装置と位置付け,非常時にも平常時にも利用可能な社会基盤設備としてのセンサネットワークの構築を目指す.より具体的には,インフラ防災(非常時)と環境制御(平常時)に資する情報を生成するセンサネットワークの構築を目指す. 本年度は,平常時の粗い計測・計算を処理する省電力CPUと災害時の高精度計測・高速演算処理を担う高機能CPUの両者を搭載し,必要に応じて切り替わるハイブリッド・センサノードのハードウェアの仕様検討・仕様確定・設計をおこない,プロトタイプを作製した.このセンサノードは,高機能系統(高機能CPU・加速度計・GPSなど,精密かっ高サンプリングレートの計測と,高度な演算を処理する系統)と省電力系統(無線通信装置と一体化した省電力CPU・日照・温度・湿度センサなど,低サンプリングレートかつデータ長の短い計測と,単純な演算で事足りる系統)とが,ひとつの基板上に実装されたものである.平常時の計測と無線通信を受け持つ省電力CPUがセンサノード全体の動作を制御するという仕組みにより,高サンプリングレートの加速度計測やGPS測位解析などの高い計算負荷のかかる作業のみを高機能CPUに投入する仕様となっている.また,消費電力を抑制しながらGPS測位解析の信頼性を向上させるために,グラフ理論に基づく測位解析アルゴリズムを新たに開発した.
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