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高機能化と人口偏在・少子高齢化は災害への耐力を減じ、我が国社会は巨大地震により破綻しかねない状況にある。この回避には、個々人の耐震化努力が不可欠であり、政府や自治体は、耐震化推進のため地震防災戦略や耐震化促進計画を策定し、様々な施策を展開してきた。しかし、耐震化の進捗は芳しくない。その最大の原因は国民一人一人の意識にある。本研究では、各種地震工学情報と地理・地学・歴史・社会等の災害関連情報を融合することで、説明力を持った地震災害情報を創出し、理解→納得感→我が事感→説得→解決策提示による新たな減災行動誘発手法を開発する。
平成22年度は、まず江戸の切絵図や名古屋城下の代表的古地図、明治以降の古地図等を収集し、一部をラスター情報として電子化した。また、広重や北斎などによる浮世絵など、かつての風景をビジュアルに描いた図画・写真を収集し、描写場所を当時の地図から特定して緯度経度等のGIS情報を獲得した上で、当該地点の現風景を撮影した。さらに、Web上で利用可能な形でディジタル化した。また、数十点での単点常時微動計測とH/Vスペクトル分析により当該地点の地盤震動性状を把握した。これに加え、元禄地震や宝永地震・宝永噴火の被害を克明に記した鸚鵡籠中記、名古屋の地震を描いた世直し草紙、昭和の東南海地震の被害データなどを収集した。次に、東海4県の自治体・ライフラインが所有する地盤・地震観測データを収集する協働の枠組み作りを開始し、複数の自治体からの地盤データ収集を行った。また、更新地震計を活用した強震観測システム構築に着手し、継続的な基礎データの収集体制の構築を行った。さらに代表的な建物応答解析モデル作りにも着手した。最後に、国勢調査データに基づき、人口の地理的分布、年代分布、時代変化を分析すると共に、人口の年代分布と家屋の建築年代分布との対応を検討した。
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