研究課題/領域番号 |
22246083
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
BELIK Alexei 独立行政法人物質・材料研究機構, MANA, 独立研究者 (20421430)
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研究分担者 |
磯部 雅朗 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導物性ユニット, グループリーダー (10354309)
新井 正男 独立行政法人物質・材料研究機構, 理論計算科学ユニット, 主幹研究員 (40222723)
山浦 一成 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導物性ユニット, 主幹研究員 (70391216)
川嶋 哲也 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主任研究員 (00354308)
櫻井 裕也 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導物性ユニット, 主任研究員 (60421400)
橘 信 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導物性ユニット, 主任研究員 (40442727)
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キーワード | 遷移金属酸化物 / 高圧合成 / 磁性 / 結晶育成 |
研究概要 |
本課題の研究目的は、遷移金属酸化物を主な対象として、①超常環境下における物質探索、②構造、物性評価と新現象の探索、の2つを実施して、新規物質や新現象・新機能の探索・開発を行うことであった。H23年度の主要な研究成果を以下に示す。 [1]新規スピン・軌道モット絶縁体Ba2IrO4を合成発見し、その磁気状態が銅酸化物超伝導体母物質に似ていることを明らかにした。[2]新規スピン・軌道モット絶縁体Ba2IrO4の金属化に成功し、臨界特性と非フェルミ液体電子散乱機構の存在を明らかにした。[3]軌道自由度のない三角格子反強磁性体Ag2CrO2を合成発見し、RKKY相互作用に関連したスピン秩序化と遍歴電子の急激な電気抵抗減少を見いだした。[4]カルシウムフェライト構造をもつNaCr2O4を発見し、それが非従来型の巨大磁気抵抗効果を示すことを明らかにした。同型構造のCa1-xNaxV2O4において光学伝導度の測定等によって、x が約 0.3から0.78の範囲で、温度による金属絶縁体転移が起こることを明らかにした。[5]スピネル型強磁性体CdCr2Se4とCdCr2S4の良質な単結晶を育成することに成功した。これらの比熱と熱膨張を測定し、CdCr2S4においては強磁性転移温度以下で負の膨張係数と比熱の異常な温度ベキ依存性を示すことを明らかにした。また、スピネル型超伝導体CuRh2S4 (Tc=4.7K)とCuRh2Se4 (Tc=3.4K)について比熱測定を行い、この系の超伝導は典型的な弱結合BCS型であることを確認した。[6]これらの新規合成物質の電子構造を第一原理計算に基づいて解析した。実験結果と比較することによって、その電子構造を明らかにした。[7]新規銅酸化物高温超伝導体の合成を最終目的とする高圧下物質探索実験を実施した。主に臭素を含むn型超伝導体および関連物質の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の遷移金属酸化物の新規合成に成功し、それらの特性を明らかにした。これらの成果は、研究目的の達成に大きく寄与した。平成23年度夏季の電力消費抑制のため、超高圧高温合成装置の使用回数が大幅に制限されたため、研究課題の一部をH24年度に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き課題推進を継続するとともに、非酸化物系の一部にも探索範囲を拡大する。
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