研究概要 |
2種類の原子層の積層構造からなるL1_0型規則合金には、その結晶の一軸性に起因した強い磁気異方性を有する材料が多く存在する。中でも3d遷移金属と貴金属の組み合わせからなるFePt、CoPtあるいはFePdなどは、非常に大きな一軸結晶磁気異方性を示し、ナノサイズ化の進む磁気ストレーデバイスおよび高性能永久磁石の次世代材料として期待されている。しかしながら、この大きい結晶磁気異方性を示す既存の>L1_0型規則合金は、希少元素であるPtあるいはPdを多く含有している。そこで、本研究では、単原子層制御によりFe,Co,およびNiというクラーク数(地表の元素質量%)の比較的高い材料からL1_0型規則合金を人工合成し、大きな一軸結晶磁気異方性の実現を目指す。今年度は、特にFeNi規則合金について、その結晶磁気異方性に大きな影響を与えると考えられるL1_0規則度の精密な算定を行うことに注力した。単結晶薄膜の長距離秩序を見積もるため、放射光施設SPring-8の高輝度光源を用いて、X線回折測定を行った。 FeNi(002)基本反射とFeNi(001)超格子反射の強度比から、規則度を算出した。7×10^6erg/ccの垂直磁気異方性値を示すFeNi薄膜の規則度を見積もったところ、0.48程度であることが分かった。また、磁気異方性と規則度の関係を調べたところ、規則度の増加に従って磁気異方性も増加することが分かった。この結果は、より大きな磁気異方性を有する合金薄膜の作製指針となるものである。
|