研究課題/領域番号 |
22246087
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00187981)
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研究分担者 |
白井 正文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70221306)
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キーワード | スピンエレクトロニクス / 構造・機能材料 / MBE / エピタキシャル / 超格子 |
研究概要 |
2種類の原子層の積層構造からなるL1_0型規則合金には、その結晶の一軸性に起因した強い磁気異方性を有する材料が多く存在する。中でも3d遷移金属と貴金属の組み合わせからなるFePt、CoPtあるいはFePdなどは、非常に大きな一軸結晶磁気異方性を示し、ナノサイズ化の進む磁気ストレージデバイスおよび高性能永久磁石の次世代材料として期待されている。しかしながら、この大きい結晶磁気異方性を示す既存のL1_0型規則合金は、希少元素であるPtあるいはPdを多く含有している。そこで、本研究では、単原子層制御によりFe,Co,およびNiというクラーク数(地表の元素質量%)の比較的高い材料からL1_0型規則合金を人工合成し、大きな一軸結晶磁気異方性の実現を目指す。今年度は、L1_0型FeNi規則合金について、FeとNiの積層回数を様々に変化させて、L1_0規則度がどの様に変わるのかを調べた。その結果、積層回数が20層までは積層数を増加させると規則度は増加するのに対し、20層から100層では規則度は0.4~0.5程度の一定値に留まることが分かった。更に積層回数を200回まで増加させると、規則度は急激に減少することが分かった。続いて、FeNiの格子定数と結晶磁気異方性がどの様な関係にあるのかを理論的に調べた。その結果、FeNiのc軸/a軸比が1.0程度をピークとして磁気異方性の大きさが変化することが分かった。また、c軸/a軸比が1.0以上である場合、a軸の大きさが減少するに従って、結晶磁気異方性の大きさが増加して1.0×10^7erg/ccを超える領域が存在することが明らかになった。これらの結果は、より大きな磁気異方性を有する合金薄膜の作製指針となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験・理論両面から、単原子層積層制御により複合機能型磁性規則合金を創製する条件の探索が進んでおり、その進捗度もおおむね順調であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、L1_0-FeNiだけでなく、FeCo系にも材料を拡張していく。また、L1_0-FePtとホイスラー合金との交互積層や、C1b構造のホイスラー合金の創製にも取り組む予定である。
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